日本・韓国・ドイツにおける樹木葬の現況と制度、及び契約者意識を比較・分析することが、本研究の全年度を通じての目的である。本年は本研究の3年目(最終年)にあたり、主に2年目までに集めた資料を整理し分析を進めた。更に日本における樹木葬の最新データを集めるための現地調査を行った。集めた資料の整理を進めたのは主に韓国の樹木葬に関するもので、その内容は雑誌「山林」に発表した。本年度に実施した研究の成果を具体的に記せば、下記の通りである。 1.韓国の樹木葬: 韓国では樹木葬が埋葬に関する法律に正式に定められ、初めての樹木葬林が国有林内に設けられたところであり、これからそれをモデルとして地方自治体もその造成をすすめるところである。樹木葬は山林に造成されるので墓地埋葬関連機関ではなく、山林関連行政の管轄となり、森林組合がその造成、運営にあたっている。これは国有林に設けられた樹木葬林についても同様である。韓国の樹木葬においては森林としての管理を試みており、森林福祉の一環として位置づけられている。しかし、森林としての活用には限界があり、埋葬場所としての利用以外にどのように管理を行うかが課題となっている。この点においては、日本の樹木葬において地域交流を進めているので参考になると言えよう。 2現地調査: 日本における調査は最新のデータ収集を目的に、調査対象への最終報告を兼ねて、千葉県いすみ市「天徳寺」及び岩手県一関市「知勝院」で行った。「天徳寺」と「知勝院」のどちらにおいても、順調に樹木葬の契約者が増えており、更に樹木葬の敷地として周りの山林を徐々に買収している。これにより管理放棄されていた森林が樹木葬墓地として管理されることになるとともに、地域交流を行っている事から地域経済にも役立つ方向に向かっていると評価できる。
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