研究課題/領域番号 |
22402037
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
上野 加代子 徳島大学, 大学院・ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 教授 (50213377)
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研究分担者 |
落合 恵美子 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90194571)
礒田 朋子 広島文化学園大学, 社会情報学部, 教授 (90193391)
山根 真理 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (20242894)
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キーワード | 国際労働移動 / フィリピン / 質問票調査 / 家事・ケア労働者 / 香港 / 台湾 / シンガポール |
研究概要 |
2011年度の主な研究実績は次の点である。 本年度の科研の最重点計画は、海外労働移動のコストとベネフィットを規定する要因を探るべく、フィリピンで包括的な質問票調査を実施することであった。香港、台湾、シンガポールで家庭内での家事・介護労働者として就労経験をもつ女性たちに対して質問票を用いて、聞き取り調査を2011年9月後半から11月末までフィリピンのマニラとその北の地域で実施した(有効回答質問票400票)。質問項目は多岐にわたり、個人的な属性、就労動機、エージェンシへの費用、渡航経緯、給与、貯蓄、雇用者宅での就労状況、フィリピンの家族との関係などからなる。集計と分析、報告書の作成は終わろている。フィリピン調査の調査票についてHPに掲載済みで、その調査結果については2012年4月末日にHPにあげ同時に冊子を作る予定であるが、主な知見としては、同じアジアで外国人家事・ケア労働者で就労するといっても就労国により、ベネフィットが異なり、とくに台湾と香港に比べて、シンガポール就労者の主観的なコスト感が多くの側面で高いことが明らかになった。また、本調査では、マイグレーションは一度だけでなく、就労国をリピートしたり、就労国を替えて労働移動するトラジェクトリーをも浮き上がらせたが、彼女たちのほとんどは職種を変えず、リージョンも変えずに、アジアと中東で住み込み家事・ケア労働者として就労していることがわかった。 2012年度はシンガポールで就労する現役男性労働者400名に対して、同様に質問票を用いたインタビュー調査を実施することになっており、そのアレンジも本年度に終えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の主な目標であった元研修生・実習生だった中国人への質問票調査も2010年に終えており、2011年にはフィリピンでの海外出稼ぎ帰国者に対して質問票調査を行った。2012年にもシンガポールで質問票調査を行うことになっているが、すでに現地のNGOと打ち合わせが終わっている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで実施した調査は中国については移住連(日本)、フィリピンについてはSpirit of Home ScalabriniなどNGOから協力を得ながら行ってきた。2012年度に実施予定のシンガポール調査もNGOのHOMEの協力で実施することになるので、調査結果についてはHPに掲載したり、論文にするだけでなく、2012年度は、現地でメディア・リリースを行ない、具体的な政策提言につなげていく予定である。
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