研究課題/領域番号 |
22402037
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
上野 加代子 徳島大学, 大学院・ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 教授 (50213377)
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研究分担者 |
落合 恵美子 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90194571)
礒田 朋子 広島文化学園大学, 社会情報学部, 教授 (90193391)
山根 真理 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (20242894)
安里 和晃 京都大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (00465957)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 国際労働移動 / 建設労働者 / シンガポール / 中国 / バングラデシュ / インド |
研究概要 |
2012年度の主な実績は次の点である。 本調査の目的である海外就労の成否の規定要因を探るという関心のもと、2010年度は日本で技能実習生として就労した経験をもつ中国人への質問紙調査、フィリピンで2011年度に実施した香港・台湾・シンガポールで家庭内での家事・介護の労働者として就労経験をもつ女性たちに対する質問紙調査に加えて、本年度はシンガポールの建設現場で働く、外国人男性労働者に調査を行なった。これは予備調査の時点で住環境が移住労働者の主観的評価に影響する大きな要因であることが明らかになったからである。中国・バングラデシュ・インドからの男性労働者から289の有効回答票を得た。男性労働者は住み込みの家事・介護労働者よりも賃金は高いが、斡旋業者の費用が高いだけでなく、回答者の半分がダニ問題ゆえにマットレスで寝ることに拒否感があり、3分の1が工事中の現場の仮設が住居であり、3分の1が盗難被害の経験があるなど生活環境が極めて良くない。就労前に渡航者によって予測されにくいが、雇用者によって確実に改善される要因である。この中国人労働者調査は、折しもシンガポールで2012年に中国からの男性労働者のストライキが実施され、移住労働者の待遇問題が社会的にクローズアップされているなか、タイムリーな調査であったと思われる。 上記以外にも、新たにインドネシアのバタムで就労するセックスワーカー(300人)への質問票調査をNGOのHOMEと協力して実施した。また、上記のフィリピン調査の結果をプレスリリースし、それにもとづきシンガポールの最大手新聞The Straits Timesから、本科研代表者上野が取材を受け、コメントが新聞に掲載された。また、このフィリピン調査の結果と、上野が2012年度から調査をはじめた「外国人家事労働者とサイバーアクティビズム」の二つを移民の国際会議であるWorld Forum on Migration(フィリピンのケソン)で報告した。
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