1 平成22年8月から9月の約35日間、南インドのタミールナードゥ州ヴィルップラム県ジンジー郡で農村の貧困性、とくにダリット女性の経済的自立の状況について調査した。とくに辺境地のメルマライアヌール地区には、政府少額融資政策下でWOLDというダリット女性NGOがつくった1000の自助グループ(S.H.G.)がある。今回、この地区中心に、244人のS.H.G.会員およびリーダーとの面談、4つの関連銀行、3つのNGO、および3地区の役所(Blo Development Office)を訪ねて、情報収集および担当者の面談を行った。土地をもたない日雇い労働者の極貧女性たによる大量のS.H.G.結成とそのグループ活動による地域の変化は非常に大きい。地区の銀行の多くもS.H.G.の貯蓄とーンに依存している。かつて甚だしかったダリット差別や宗教間衝突も減っている。今回は、この変化の内容を調査た。しかしその過程で、失敗した個人やグループ例とその理由も明らかになってきた。NGOによるトレーニングをしっかり受けているグループと新しいS.H.G.の違い、インド政府のS.H.G.政策の変更によるNGOやグループ間の分裂、新たにに入ってきている少額融資機関(MFI)や闇金融の問題点などである。 2 平成23年2月末から3月の23日間、タミールナードゥ州と隣接し、アンドラプラーデッシュ州にも近いカルータカ州のコーラル県バンガラペットとK.G.F.で上記と同様の調査を行った。州境であるために、カンナダ語、タミル語、テルグ語、ウルドゥ語(ムスリム)の女性たちとの面談になった。3つのNGOの協力をえて、合計90人の女性およびNGOのワーカーの話を聞いた。この地域もS.H.G.活動で大きな変化を起こしている。問題はやはりMFIと闇金融ある。第二段階に入った貧困女性たちのS.H.G.について、さらに調査を続け、データを分析する必要がある。
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