研究課題
最終年度において、日本側のメンバーはそれぞれの専門分野の観点から、日本精神神経学会第108回大会で発表しそれを論文化した。照山(研究協力者)は堀口(連携研究者)と共に、文化人類学的視点から、発達障害者のコミュニティと「ひきこもり」のコミュニティとのコントラストを描き出すことによって、日本の「ひきこもり」そのものの持っている本質に迫る考察をおこなった。また、津田(研究分担者)は精神病理学的観点から、「公共の縁における実存」との関連で論じ、ひきこもりへの理解と対策についての示唆を導き出した。小川(研究分担者)は精神分析的観点からひきこもりが慢性化する要因を追究し、臨床的にタイプ分けが可能であると述べた。以上の研究成果を名古屋(2013年1月)やパリ(2013年3月)のシンポジウムでそれぞれの研究メンバーが発表した。研究代表者の古橋は現代における神経症の変化と日仏のそれぞれのひきこもりのあり方について論じた。また、パリデカルト大学のMaia Fansten(連携研究者)は同じくパリデカルト大学のCristina Figueiredo(連携研究者)と共に、人類学的、社会学的分析によって、成年への移行やその様式は「敷居をまたぐ」ときに構成されるという論理から、退却(ひきこもり)という現象の論理が、その移行の経過の中で、一つの文化的な意味を持つ表現形式として現れると述べ、ひきこもりを通して、時間と空間、家族の内外の関係、現実社会での身体の場所と感情の場所との諸関係についての問いについて問題提起をおこなった。さらに、フランス国立科学研究センターCNRSの主任研究員でパリデカルト大学のPierre-Henri Castel(連携研究者)は、「自律」という概念が本来持っているいくつかの特徴を明らかにすることで、「社会的ひきこもり」の精神病理学化を特徴づける見地を逆転させる試みを行った。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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