研究課題/領域番号 |
22402052
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
東 自由里 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (80269795)
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研究分担者 |
進藤 修一 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (80294172)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 移民 / 教育政策 / 自治体 / グローバル都市 / ニューヨーク / フランクフルト / 統合政策 / 市民権 |
研究概要 |
2012年度のドイツでの調査は、移民の日常生活に大きくかかわる現代ドイツの社会保障についてすすめてきた研究を総括することとなった。その成果として、ドイツの社会保障研究の大家であるG.A.リッター著『ドイツ社会保障の危機』を共訳し、出版した(2013年1月刊行)。また、学術調査としては、2013年2月18-21日、ソウル特別市(大韓民国)で、韓国からドイツへ渡った移民に関する研究打ち合わせ(ソウル大学)および1950-70年代の一次資料調査(於大韓民国国会図書館)をおこなった。同3月2日-10日にはドイツで研究調査を実施した。調査先はフランクフルト市警察本部(移民担当官へのインタビュー)、フランクフルト市ソフィア校(授業参観および教員への聞き取り調査)である。また、同7-9日、フランクフルト市で開催されたドイツ移民協議会年次大会(Jahrestagung des Bundeszuwanderungsrates)に出席し、各州の移民協議会議長、事務局担当者や、行政側の政策担当者(特にヘッセン州)と研究に関する情報交換をおこなった。 本年度米国での調査はエリス島移民博物館は2012年10月に発生したハリケーン・サンディで致命的な被害を受けて閉鎖されため、予定を変更せざるをえなかった。移民の歴史に関する新しい取組がエリス島で始まったばかりであったが、今のところ2013年度も開館する予定は発表されていない。だがテナメント・ミュージアムがどのような新展開を加えたのかを調査することができた。ニューヨーク市立大学では、学生、ニューヨークに在住する査証なしの住民向けに展開されている市民権獲得の支援プログラムを調査した。 昨年に引き続き、調査対象都市の住民基礎的データーを収集するとともに、①移民・他者の歴史的受容過程、②移民統合政策の現在の二つの研究課題に関する調査を中心に引き続き実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表、分担者は調査都市のフランクフルト、ニューヨーク市を熟知しているため資料収集も聞き取り調査もおおむね順調に進んでいる。2010年米国で実施された国勢調査結果も徐々に発表されてきており、ニューヨーク市との比較も可能になってきた。またドイツの国勢調査は一時的に止まっていたが、EU諸国国勢調査が2011年されたを機に、ドイツも調査に参加したが、調査方法が米国と異なっているため両国の基礎的データは単純に比較することはできない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の特徴は、いわゆる「移民の社会への融和」問題に焦点をあてるのではなく、むしろ逆のアプローチから問題提起を行うことにある。つまり、「市民側の移民・外国人への融和」を阻んでいる要因を検証するとともに、あくまでも都市の受け入れ側、そして新たに到着した移民や外国人に求められる相互関係から生まれる市民育成に必要な支援を解明する点にある。 最終年度をむかけ、都市の調査を主に実施してきたが、最終年度は国家レベルでの教育政策と都市レベルのそれとを比較することは有意義であると考える。そのための米国、ドイツ全体の基礎的データーとそれぞれのグローバル都市との比較を最終年度に実施することとしたい。
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