日本とアジア3カ国(韓国、シンガポール、インド)及びデンマークの乳幼児期のインクルーシブ教育システムと、その背景にある各国の障害観・特別支援教育観の比較検討を行った。その結果、以下の4点が明らかとなった。(1)韓国、シンガポール、インドのアジア3カ国では、幼稚園や保育所などに発達・医療専門が専任スタッフとしており、保育者とそれら専門家が一体となって教育・保育と療育を実践できるシステムが構築されている。(2)デンマークでは、コミューン(日本の市町村にあたる)が主体となって、コミューンに常駐するペタゴー(保育者)・心理士・作業療法士・言語療法士・医者などの社会的資源を、そのコミューンの行政担当者が中心になって、そのコミューンで生活する気になる子どもや障害児のために有機的に機能させて特別支援を行っていくようなシステムが構築されている。(3)障害観に関しては、デンマークは障害者を障害者を自分とは異質な存在とは見なしていないが、自分と何ら壽わらぬ存在とも見なしていない傾向が見られることが明らかとなり。アジア4カ国とは異なる傾向が見られた。(4)日本においては、保育者と発達・医療専門家が一体となって教育・保育、療育を行っていくようなシステムを構築していくことが課題である。
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