研究課題
海嶺軸における地殻・マントル構造把握のためには,浅部から10km程度までの構造を得ることが重要である。残念ながらEPRへの航海が取得できなかったため,白嶺鉱床周辺で既存の電流源および別途開発された電流源を用いた実験を行った。また,有人潜水船やROVに装備する小型の海底電位計の製作と海域試験を行った。また,昨年度に引き続きオマーンオフィオライト及び深海掘削サイト1256の最上部を構成するオフリッジ巨大溶岩の解析を継続し,巨大溶岩流の定置過程とマグマの成因について考察した。1256C孔のオフリッジ巨大溶岩は,通常の中央海嶺玄武岩(NMORB)溶岩流が噴出・定置した後,Kに富むエンリッチした中央海嶺玄武岩(EMORB)的な溶岩が噴出し,NMORBからなる溶岩ローブのまだ固化していない中心部に貫入し,内成的に溶岩体が成長し,厚さ100 mを越える巨大溶岩流となった。一方,オマーンオフィオライトのオフリッジ巨大溶岩流は,大洋島玄武岩(OIB)とEMORBの中間的な主要・微量元素組成の特徴を有する。全岩化学組成は,噴火初期には未分化であり,次第に分化した組成に変化し,噴火末期に再び未分化になった。同様の全岩化学組成変化は溶岩体が最も暑く発達した部分の層序方向の変化と調和的である。このことから1256掘削孔と同様に,内成的に溶岩流が成長したと考えられる。以上のことから,巨大溶岩流は低噴出率の噴火によって水底パホイホイ溶岩からなる複合溶岩流として流下し,ローブの融合が進んだ高温の溶岩体中心部では,後から噴出した溶岩が未固結の中心部に貫入し,内成的に溶岩流が成長する。OIBとEMORBの中間的なアルカリ玄武岩またはEMORBを伴い,噴火中にマグマ組成が変化し,マグマ混合が起きている。これはオフリッジ巨大溶岩流が比較的浅いマントルで発生したことを示唆する。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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