研究課題
本年度は、2010年6月2日から16日にかけて宇宙航空研究開発機構がカプセル回収オペレージョンの一環として編成した地上観測部隊の一員としてオーストラリアに赴き、ウーメラ立ち入り制限地域およびその周辺地域にインフラサウンドセンサーと地震計から成るアレイ観測点(3地点)と地震計の単点観測点(4地点)を設置し、「はやぶさ」リエントリーの待ち受け観測を実施した。また、光学観測と可聴音観測を並行して行った。2010年6月13日22時54分~56分(日本標準時)頃に「はやぶさ」リエントリーに伴う衝撃波を観測した。「はやぶさ」カプセルによる衝撃波の大きなパルス(メインパルス)の後にも、「はやぶさ」本体の破片によると思われる振幅の小さなパルス炉観測され、地動ではメインパルスの到達前から、ごくセンサーの近傍で励起されたと考えられる表面波も観測された。これらの観測データに対して、衝撃波到達走時と「はやぶさ」の予測軌道データから推定される理論走時との比較を行い、両者が良い一致を示すことを確認した。また、三成分地震計記録およびアレイ観測データのセンブランス解析からメインパルスの到来方向の推定を行い、予測軌道データと一致することを確認した。さらに、光学データとの比較を行い、衝撃波観測データが光学観測結果と整合的であることを明らかにした。これらは世界で3例目となる惑星間空間からの人工天体励起衝撃波の観測に成功したことを示し、意義あるものである。これらの結果について国際会議4件、国内会議12件(うち招待講演1件)の学会発表を行った。本年度は伝搬経路・波源解析とエネルギー推定、表層の地震波速度構造の解析、観測計器のキャリブレーションを行い、大気-地表面カップリング過程のエネルギー伝搬効率の解明に取り組む。
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http://earth.s.kanazawa-u.ac.jp/hayabusa.html
http://www.kochi-tech.ac.jp/kut_J/kuttopics/cgi/diary.cgi?no=286