研究課題/領域番号 |
22403008
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
林 為人 独立行政法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, グループリーダー (80371714)
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研究分担者 |
山本 由弦 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 研究員 (10435753)
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キーワード | 応力計測 / 地震断層 / コア試料 / 非弾性ひずみ回復法 / 科学掘削 |
研究概要 |
地震は、地震断層面に蓄積したせん断応力が断層の耐えられる限界に達すると発生する。一方、地震の発生によって、断層近傍の応力状態は大きく変化する。地震発生のサイクルを理解するために、地震発生前後の応力状態を知ることが重要である。2008年に中国の四川省で発生したマグニチュード8の大地震の震源断層を掘削する、中国地質科学院の主導によるプロジェクト(Wenchuan-earthquake Fault-zone Scientific Drilling,WFSD)は平成21年11月から進行している。本研究は中国地質科学院の研究協力に基づき、これらの断層掘削のコア試料を用いて、非弾性ひずみ回復法(ASR)による三次元応力の測定をし、地震後の断層近傍の主応力方向等に関する貴重なデータを得ると共に、応力と地震断層との関係について検討する。計測は掘削による応力解放直後のコア試料を用いる必要があるため、中国四川省にある掘削現場の実験室で行わなければならない。平成23年度は平成22年度の1本目の掘削(WFSD-1孔)に引き続き、2本目と3本目の掘削(WFSD-2、3孔)の試料を用いて、約20試料分の測定を行った。現在、その結果を解析して、中国側の共同研究者らと結果解釈の議論をしているところで、論文投稿の準備段階にある。 また、平成23年3月に未曾有の大きな被害をもたらした東北地方太平洋沖M9の巨大地震が発生した。本研究の代表者・分担者は持っている研究のノウハウや知見を東北地震の調査研究にも傾注した。M9巨大地震の震源域にある国際深海掘削(ODP)の第186次研究航海の調査結果を再解析して、このM9地震の地震前の応力状態を特定することができ、地震発生後の現在と近い将来に取得のできない地震前の応力状態に関する貴重なデータを得ることができた。それを国際有力学術雑誌にて論文発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国地質科学院による掘削はおおむね順調で、平成23年度は複数箇所で同時進行していた。測定に使用するコア試料も順調に取れているため、データ取得プロセスは順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(平成24)は、中国側による最後の掘削(4本目、WFSD-4孔)が行われる予定で、当初計画のとおりである。本研究も平成24年度は研究期間の最終年度に当たるので、掘削のスケジュールと整合する。したがって、研究は当初計画のとおり、遂行する予定である。
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