研究課題/領域番号 |
22403012
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
乙藤 洋一郎 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90160895)
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研究分担者 |
宇野 康司 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10510745)
山崎 和仁 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20335417)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 大陸変形 / 古地磁気学 / アジア大陸 / アフリカ大陸 / インド大陸 |
研究概要 |
1. 岩石試料採取: 2012年度は、エチオピア、インド、そしてカンボジアに3つの調査隊を派遣した。(1)エチオピア:エチオピア北西部の高原のデバーク周辺に分布する中新世の洪水玄武岩に焦点をあてた。この洪水玄武岩は、紅海が拡大しアラビア半島とアフリカ大陸が切り離されたときに噴出したものとされているので、アラビア半島とアフリカ大陸が切り離されたプロセスを記録しているに違いない。日本人3人とエチオピア・アジスアベバ大学の研究者の1人の計4人で調査隊を結成した。2012年3月25日から4月15日まで調査並びに岩石採取を行った。標高差2000mで98層の溶岩層から400個の試料を採取した。現在残留磁化を測定中である。(2)インド:インド大陸東部においてProterozoicにおこった大陸衝突の様子を古地磁気学的方法で観察するために、バルガールとアングール両地域周辺で13億年前に貫入したの岩脈を研究対象にした。日本人4人とインドの研究者1人で調査隊を結成した。2013年2月24日から3月5日に、バルガール/アングールの2地域で岩脈を4か所で計180個の岩石試料を採取した。現在残留磁化を測定中である。(3)カンボジア:インドシナ半島の変形の様子を知るために、カルダモン山地に分布するジュラ紀・白亜紀の赤色砂岩を研究対象とし、日本人5人とカンボジア人1人の調査隊を結成した。調査・岩石採取は2013年3月25日から4月9日に実施した。33か所から250個の岩石試料を採取し、現在それらがカンボジアから到着するのを待っているところである。 2. 大陸変形:南中国の南部域の変形、インドシナ半島先端部の変形、そして雲南省にある半径400kmの弧状地形の形成について、古地磁気データに基づき、変形テクトニクスを議論し、論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大陸の変形の研究のために、アフリカ大陸・インド大陸そしてアジア大陸の3つの大陸から岩石試料を採取できたことは、とても満足度が高い。とくにカンボジアのカルダモン山地で岩石試料を採取できたことは、インド大陸の衝突にともなうアジア大陸の変形がインドシナ半島のどの程度までに及ぶかを研究できる点で興味深い。 一昨年度までに採取した岩石試料についてほぼ残留磁化測定がおわり、データに基づき、大陸変形の様子の議論を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
1. 一昨年度予備調査で岩石試料を採取したマレーシアのタマンネガラの測定結果が求まり、赤色の砂岩のみが信頼に足る残留磁化を記録していることがわかった。岩石の色標本をつくり、今年度はタマンネガラで、赤色砂岩の本格的な岩石採取を行う。 2. 2005年に予備調査で、南中国地塊と北中国地塊とが衝突した地域である四川盆地北部の万源に赴き、三畳紀の岩石採取を行った。その岩石の残留磁化の結果が求まり、万源周辺には、二つの地塊の変形の記録が残されていることがわかった。今年度は万源における調査地域を広げ、岩石採取を行う。 3. 昨年度試料採取した岩石の残留磁化を測定する。 4. 一昨年度試料採取した岩石の岩石磁気学を行う。
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