研究実績の概要 |
(1) インド大陸がアジア大陸に衝突して以降の、アジア大陸の姿・形を変える現象に注目し、今年度は東南アジアのマレー半島を研究の対象とした。マレー半島のCentral BeltとCentral Belt~Eastern Belt境界周辺に分布するTembeling Groupの赤色砂岩の古地磁気学研究を行った。Tembeling Groupは化石に欠くものの、植物化石からはJurassic to Early Cretaceous の時代が充てられ、花粉化石からはEarly Cretaceousが示唆されている。Tembeling Groupの赤色砂岩の分布する、マレー半島中部域の北部のTaman Negara(北緯4度13分、東経102度23分)と南部のMaran(北緯3度28分、東経102度47分)の2か所から33サイトで試料を採取した。熱消磁を690℃まで施し、18サイトで、660-690℃の高温成分が現われることを発見した。Tembeling GroupのFormation meanを18サイトのデータから求めると、褶曲テストに95%の信頼度で合格し、その方向は偏角236.3°、伏角-31.9°, ks=8.1,α95=12.9°N=18となった。この方向は、Tembeling Groupの初生磁化の方向であると結論付けた。このTembeling GroupのJurassic to Early Cretaceousの方向に従えば、マレー半島はIndochina blockと一緒に時計回りに約50°回転し、約1500km南下したと推定した。 (2) 古地磁気測定に基づき、インドシナ半島のシブマスブロックの変形、Kolyma-Omolon Superterraneや西南日本のあるアジア東北部域の大陸変形の様子を議論し、その結果を、論文化した。
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