研究課題
計画2年目にあたる本年度は、初年度に実施した南極、スリランカ、インド南部での海外調査のフォローアップとなる国内実験を鋭意進めるとともに、インド南部地域に重点をおいた現地地質調査をおこなった。平成23年12月にインド南部のバンガロール~チトラドゥルガ周辺の地質調査(サティシュ、外田)、ならびに、平成24年9月(平成23年度予算を繰り越して実施)に同じくインド南部のバンガロール~タミール・ナドゥ~ニルギリ~ケララにかけての地域での地質調査(白石、サティシュクマール、外田)をおこなった。また、採取した岩石試料を用いて、変成作用の解析ならびにジルコンのU-Pb放射年代測定ならびにモナザイトのU-Th-Pb化学年代測定を実施した。スリランカで採取した岩石試料解析によって、チャーノッカイト中の斜方輝石の産状に二種類あることを見いだし、その詳細な記載をおこなった。また、火山岩様包有物(felsite inclusion)の微細組織の詳細な観察と化学分析をおこない、その成因について考察した。南極の試料解析によって、リュッツォ・ホルム岩体に産する角閃岩中のザクロ石周囲に発達する斜長石-黒雲母反応縁の微細組織について、コロナ中の黒雲母の粒径分布、コロナ形成に伴う化学組成の変化について解析をおこない、その生成反応を明らかにした。第52次南極観測隊で採取された南極リュツォ・ホルム岩体の岩石試料、特にアルカリ岩脈の試料について岩石記載と化学分析を実施、その起源と成因について考察した。
2: おおむね順調に進展している
当初計画通り、インド南部地域での野外地質調査を2回に分けて実施し、また南極、インド南部、スリランカ、3地域の採取岩石試料の解析を計画通り分担して実施した。その成果は、国内外の学会で研究発表おこなうとともに、国際学術誌への掲載に向けて論文執筆をおこなっている。インド南部地域での2回目の地質調査は、諸々の制約により、当該年度(平成23年度)内に実施できなかった。そこで、計画を変更して、平成24年度に予算を繰り越して、ほぼ予定した通りの内容の現地地質調査を実施できた。
平成24年度(科研費最終年度)は、インド南部地域での地質調査を実施して、これまでの地質調査ならびに解析した岩石試料から得られたデータのフォローアップをおこなうとともに、平成23年度に採取した岩石試料の解析を引き続きおこなう。執筆中の学術論文を投稿し、研究成果を国際学術誌に公表する。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (20件) (うち招待講演 1件)
Precambrian Research
巻: 200-203 ページ: 104-128
10.1016/j.precamres.2012.01.013
Gondwana Research
巻: 21 ページ: 829-837
10.1016/j.gr.2011.08.013
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences
巻: 106 ページ: 195-203
DOI: 10.2465/jmps.101116
Polar Science
巻: 5 ページ: 345-359
DOI: 10.1016/j.polar.2011.03.005
Island Arc
巻: 20 ページ: 259-279
10.1111/j.1440-1738.2011.00764.x
Earth and Planetary Science Letters
巻: 310 ページ: 340-348
10.1016/j.epsl.2011.08.008
Contributions to Mineralogy and Petrology
巻: 162 ページ: 821-834
10.1007/s00410-011-0626-3
American Mineralogist
巻: 96 ページ: 470-485
10.2138/am.2011.3576
巻: 20 ページ: 248-258
10.1111/j.1440-1738.2011.00763.x