研究概要 |
本研究の目的は以下を明らかにすることであった。 1)衛星と地上レーダデータを用いた、永久凍土の水分量の違い、凍結・融解状態でのレーダの散乱特性の解明。 2)衛星データを用いて、永久凍土の水分量の違い、凍結・融解を広範に推定するアルゴリズムの作成 3)シベリアで凍結/融解マップを作製し、温暖化が住人の生活に与える影響を評価する。 このうち1)については、収集した現地データと衛星データを元に永久凍土活動層の電波散乱の解明を行った。そして永久凍土の上を数cmから数十cm覆っているミズゴケ層が、積雪と同じような役割を果たし、衛星で観測される電波後方散乱係数のうちHH、VV偏波はこのミズゴケ層からの表面散乱が寄与し、HV,VH偏波はミズゴケ層の下にある永久凍土活動層からの寄与が支配的であることを明らかにした。この結果に基づいて、衛星データを定量的に評価するための2層モデルを開発し、査読論文にまとめ投稿した。また、2)については、1)の結果を元に衛星データから水分量を推定するアルゴリズムの開発を行った。冬季の凍結時の衛星データを用いて地表面粗さを推定し、夏季に取得された衛星データにこの地表面粗さデータを加えることで、永久凍土活動層の水分量の推定を行う。地上で検証データ収集を行ったアラスカの4か所のテストサイトの内、2か所で土壌水分マップを衛星データから作成し、2011年度に開かれる2つの国際学会で発表予定である。 3)は2011年度以降に行う予定である。
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