研究課題/領域番号 |
22404002
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
冨安 卓滋 鹿児島大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (60217552)
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研究分担者 |
松山 明人 国立水俣病総合研究センター, 疫学研究部, リスク評価室長 (00393463)
宮本 旬子 鹿児島大学, 理工学研究科(理学系), 准教授 (40244222)
井村 隆介 鹿児島大学, 理工学研究科(理学系), 准教授 (40284864)
児玉谷 仁 鹿児島大学, 理工学研究科(理学系), 助教 (30434468)
河野 百合子 鹿児島大学, 廃液処理室, 特任助教 (60582070)
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キーワード | 金精錬活動 / インドネシア / 水銀 / スペシエーション / 河川水 / 土壌 / 大気 / 着生シダ類 |
研究概要 |
チカニキ川の中・上流部には、金採掘を行っている集落が点在している。本年度は、金精錬活動が活発に行われているルイボラン、チサルア集落を中心として調査を実施した。これら集落はチカニキ川とその支流であるチサルア川の合流部に位置している。 土壌試料は、ルイボラン、チサルア集落からチカニキ川沿いに約2km上流部で一カ所、両集落内でそれぞれ1カ所、さらに、約1km離れた岡の上に位置する精錬活動を行っていない集落へ向かって4カ所の計7カ所で柱状に採取した。得られた約30cm長さの柱状試料は表層から2cm厚に切り分け、チャック付きポリ袋へ入れて日本へ持ち帰り測定に用いた。いずれの地点においても総水銀濃度は表層部で高く、下層に向けて低下していた。これは金精錬作業によって放出され大気輸送された水銀が地表に降下し土壌表層を汚染していることを示すものである。河川水はチサルア川、チカニキ川で上流から下流にかけて約20kmの範囲で採取し、日本へ持ち帰った後、Hg^0、Hg^<2+>及び総水銀濃度の測定を行った。最も高い総水銀濃度、9.6ng/mlは、ルイボラン・チサルア集落近くの採水点で観察され、これら集落における金精錬活動の河川への影響が明確に現れていた。一方で最も下流の地点においても、7.0ng/mlの値が得られ、河川中の水銀濃度が十数kmにわたって高い値に保たれている可能性が示された。水銀濃度が高い地点において、最も優勢な水銀化学種はHg^<2+>であったが、それ以外の地点においては、Hg^<2+>、Hg^0以外の水銀が優勢となることが示され、今後、他の化学成分の分析と合わせ河川水中の水銀濃度及びその化学形変化を追跡する必要がある。試料採取点においては、さらに大気中水銀捕集及び着生シダ類の採取を行い、実際に大気輸送される水銀レベルとその周辺生態系への影響の評価を試みた。 上記フィールド調査と並行して、高感度メチル水銀分析法及び種々のイオン種の分析法の開発をすすめ、実際の試料への適用について検討を行った。
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