研究課題/領域番号 |
22404003
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
安井 英斉 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (70515329)
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研究分担者 |
門上 希和夫 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (60433398)
乙間 末廣 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (90124338)
加藤 尊秋 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (20293079)
李 玉友 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 准教授 (30201106)
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キーワード | メタン発酵 / 改質処理 / 有機性廃棄物 / 食品系廃棄物 / 生ごみ / 微量汚染物質 / 都市計画 |
研究概要 |
都市域で排出されるし尿汚泥の資源化可能性を把握するために、ベトナムで広く用いられているセプティックタンクに着目して当該汚泥の生物分解度合いを評価した。この結果、生物分解可能な成分はほとんどセプティックタンクの汚泥に含まれておらず、何らかの改質処理を施さない限り、資源化は極めて困難であることが明らかになった。そこでフェントン処理で汚泥を改質することを考え、改質のメタン発酵連続実験をおこなった。これによって汚泥中の非生物分解性成分の大部分はメタンに転換し、下水汚泥を模擬試料とした実験では全有機物の80%ほどをバイオガスに分解させることを実証できた。また、ダナン市から排出される食品残渣の量と流通経路の把握について、排出者および中間収集者に着目した。排出者について食品残渣への参加を妨げる要因をダナン市内の200世帯に対する詳細な面接調査により把握した。また、市内主要住宅地を担当する中間集収集者を抽出して所定期間内の食品残渣収集量を実測するとともに、流通経路と流通形態を明らかにした。都市で排出される有機廃棄物の有効活用を実施するには、利用可能な廃棄物を相当量、定常的に収集する必要があるので対象はレストランやホテルなどの大規模排出者に限定される。そこでダナン市の都市資源環境公社が収集している都市有機廃棄物に関して、ベトナム・ダナン大学の協力を得て調査し、市内における大規模排出場所とその排出量を同定した。また、食品廃棄物の量とも密接に関連する薄プラスチック袋の使用量についての実態調査も実施した。そして、水系の水質把握に関して、急速な経済発展と近代化に伴い,ダイオキシン類以外の有害化学物質による汚染が進行しつつあるため,それらのリスクを評価するための基礎資料としてベトナム主要4都市の河川を対象とした微量有害物質調査を2回実施し,農薬や生活排水由来の多数の化学物質を検出して環境リスクの評価に必要なデータを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ダナン市の廃棄物に関するマテリアルフローやベトナム諸地域の河川水質に関する現地調査は予定通り進捗し、。ダナンを含む主要4都市のダイオキシン類以外の有害化学物質による水環境中のリスク評価に必要な環境データを得た。また、ベトナムの排水処理で固有なセプティックタンクの汚泥成分調査を元に、その高度分解手法の技術的な目処も得た。
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今後の研究の推進方策 |
下水汚泥・消化汚泥の生物分解特性を把握するため、ラボスケールによる分析実験を強化する。これによって当該地域の汚泥を資源化するための技術的要件を整理できると考える。ベトナムにおけるダイオキシン類汚染土壌の処理費用を概算精度を高めるために,ダナンを含むベトナム全土のダイオキシン類汚染土壌の存在量調査可能性をベトナム政府当局とする』また、研究成果の汎用性を高めるために、ベトナム主要4都市の水環境中の微量有害物質による環境リスクも推計する。
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