研究概要 |
今年度は,これまでに検討してきた1949年の地上核爆発からの放射雲で被害を受けたドロン村、さらに昨年度検討した1953年の旧ソ連最初の水爆(400kt)で被害を受けた核実験場の南東方向に位置するサルジャールとカラウル集落で得た知見をベースにして,核実験場の南方に位置するカラウル集落内外で土壌の試料採取を行い,住民の被曝線量評価を目指して取り組んだ。 その結果、この集落内および周辺の土壌中Cs-137、Pu-239+240蓄積量のおおまかな分布を算出(福島原発事故関係試料の測定で本研究の試料測定遅れる)し,放射性雲が通過したと思われるセンター軸,Cs-137などの降下量の評価を行った。これまで,最大の被曝をもたらした核実験(1954/9/24:38kt)からの放射雲が集落を直撃したのではないかと言われてきたが,今回の暫定的で見る限り、放射雲は集落を直撃していないことが判明した。さらに、内部被曝を評価するために、放射性核種の体内への移行経路(経口摂取あるいは吸入),生活・食事様式を考慮した内部被曝評価モデルを検討した。 これらの結果は、これまで十分に検討されてこなかったカイナル集落住民の被曝線量を評価する上で,貴重なデータである。
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