研究課題
ニュージーランドで大規模赤潮被害をもたらした渦鞭毛藻Karenia brevisulcataの水溶性画分から、梯子状ポリエーテル化合物brevisulcatic acid (BSX)を単離した。BSXは、分子中央付近に存在する9員環エーテルの配座変換のため、NMRスペクトルが激しく広幅化し、構造決定が困難であった。この問題を解決するため、NMRスペクトルを低温で測定したところ、広幅化で観測されなかったシグナルが先鋭化して観測され、スペクトルの詳細な解析からBSXの化学構造の解明に成功した。また、推定構造を確認するために、カルボキシル基にタウリンを導入し、MALDI-MS/MSスペクトルにより構造を確認した。これまで、カルボキシル基を有する化合物の陰イオンによるMS/MS測定は、十分な強度の前駆イオンを得られなかったため、報告例があまりなかったが、本研究成果により、新しい方法論の開発にも成功した。同時に単離された類縁体の構造を末端のラクトンが加水分解を受けたセコ酸であると決定した。これらの結果、BSXが、フロリダ沖で赤潮を形成し、大量の魚類斃死の原因となる神経毒ブレベトキシンに類似した梯子状ポリエーテル化合物であることを明らかとした。さらに、神経細胞に対する毒性を明らかとし、分子末端のラクトン構造が活性発現に重要であることを明らかとした。ニュージーランドの研究チームとの共同研究により、渦鞭毛藻Karenia brevisulcataの主要な有毒成分であるbrevisulcenalとbrevisucatic acidのLC/MSによる微量分析法を開発し、今後の国内での中毒発生防止に貢献できる研究結果を得ることが出来た。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Toxicon
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