研究分担者 |
大村 達夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30111248)
中野 和典 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30292519)
梅田 信 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10447138)
真砂 佳史 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50507895)
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研究概要 |
数値モデルと現地観測をカンボジアの氾濫原において行い,栄養塩収支を求めた.その結果,得られた知見は以下の通りである.1)9月の現地観測により,コルマタージュの氾濫原側において栄養塩濃度が低下し,氾濫水が採水地点までの過程において栄養塩を沈降させることが理解された.2)11月の現地観測により,コルマタージュの氾濫原側において栄養塩濃度が上昇することが示された.これにより氾濫原において,以前に導水され蒸発による濃度上昇した氾濫水と新たに導水された氾濫水が混合することが理解された.3)タケオにおける観測により,ため池における栄養塩濃度は表層から下層に従い濃度が濃くなることが理解された.また,タケオの土壌が日本と比べ貧栄養な土壌であることを示した.4)ミクロスケールモデルにより,コルマタージュおよびタケオにおける栄養塩蓄積量を示した.メコン河本流から距離が離れるほど蓄積量が減少することが理解された.5)メコン河委員会の水位・流量および水質データを分析し,メコン河においてL-Q式が成立しないことを示した.また,河川における位置や季節毎の明確な濃度変化がないことを示した.6)2つのモデルによって,1km^2単位面積当たり全窒素1600kg全リン180kgカリウム3800kgが蓄積することが示された.加えて米収量単位重量当たりの栄養塩量の解析結果から栄養塩蓄積量は米作をするのに十分な量であり,メコン河の洪水氾濫による肥沃化の効果があることが示された.
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