研究課題
前年度に底泥有効利用の経済性を検討した結果、底泥の含水率が輸送コストを大きく左右する。したがって、浮遊土砂を貯水池の浅部に堆積させ、乾期低水位時に乾燥状態での浚渫が望ましい。貯水池内構造物や放水最適化で濁水挙動を制御することが考えられるが、その検討のためにまず現状の濁水挙動を把握し、それを再現するシミュレーションモデルを構築する。サーミスターチェーンとセディメントトラップを複数地点に設置して底層密度流として流入してくる濁水の層厚や斜面流下速度を把握した。これと並行して数値シミュレーションで濁水挙動の再現を試みたところ、層厚、流下速度ともに現地観測結果を概ね再現できていた。一方で、上流域からの土砂生産量を見積もるために、衛星画像による土地利用分類を進めた。土地利用図は現地農業省が以前に衛星画像解析に基づいて作成しているが、精度は高くない。そこで、農地のNDVIの季節的変動に注目し、雨期前後の衛星画像の比較により小麦畑の判別精度を向上させた。特に同地域では雨期前に耕起する小麦農地の有無が土砂生産量に大きな影響を及ぼす一因となっており、これにより土砂生産量予測精度の向上が期待される。また、底泥から抽出された腐植物質の有効利用の可能性を検討した結果、現地の底泥から抽出された腐食物質は抗アレルギー性などの機能性を有していることが確認できたが、対象とした貯水池の例では底泥中の腐植含量が少なく、抽出コストが製品価格を上回る可能性が高い。逆に事業化可能となる最低腐植含量を試算したところ、本研究で対象とした底泥の腐植含量の10倍程度の含量が望ましいことが明らかとなった。これら現地観測、数値シミュレーション、衛星画像解析とともに前年度までに行った有効利用方法の検討をさらに深化させ、投稿論文としてまとめた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Waste and Biomass Valorization
DOI10.1007/s12649-013-9234-y
土木学会論文集 B1(水工学)
巻: 69(4) ページ: 835-840
Journal of Japan Society of Civil Engineering
巻: 69(4) ページ: 247-252
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Journal of Sustainable Watershed Science & Management
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DOI: 10.5147/jswsm.2013.0124