研究課題
本研究は、ベトナムのホン川(Red River)流域にあるハノイ市を対象として、水供給システムの脆弱性と適応力を評価した。ハノイ市では、現在の主な水源である地下水の揚水を抑制し、河川水を主な水源とする計画である。しかし、ホン川流域では、2009年に過去100年で最大の渇水が発生したことから、河川水への過度な依存は渇水のリスクを高めることになる。都市化が進むハノイ近郊では、地表水と、地下水、雨水などの複数の水源を利用している。そこでハノイ市の都市部と周辺部において約170世帯の水利用状況について訪問調査を実施した結果、次のことが明らかとなった。(1)郊外の農村集落であるTien Yen (TY)では、全ての世帯が地下水を利用するとともに67%の世帯では地下水以外の水源、たとえば雨水を併用していた。90%の世帯では砂ろ過設備を有しており、逆浸透処理設備があるのは18%であった。(2)都市化が進行中の集落であるNgoc Hoi (NH)では、水道のみを利用する世帯は39%で、47%の世帯は二つの水源を、14%の世帯は3つの水源を利用していた。55%の世帯は家庭用の地下水を利用しており、そのうち73%は砂ろ過設備を備えていた。(3)都市化が進んだTan Mai (TM)では、水道普及率が100%であるが、58%の世帯が逆浸透膜やセラミック膜などの家庭用浄水器を利用していた。この割合は、TY(18%)やNH(37%)よりも高く、都市化とともに家庭用浄水器の利用割合が上昇した。家庭用浄水器による砒素の除去率は、RO膜処理で65%~95%、砂ろ過で平均63%であった。調査対象となった住宅のほとんどは地下ないし屋上に貯水槽を設けており、渇水時の水供給の安定化に貢献する一方で、水質悪化を引き起こす。長期的には水量の充足と供給の安定化が、気候変動等への対策として求められている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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