研究分担者 |
三谷 曜子 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (40538279)
綿貫 豊 北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (40192819)
米崎 史郎 独立行政法人水産総合研究センター, 遠洋水産研究所, 研究員 (30463102)
服部 薫 独立行政法人水産総合研究センター, 北海道区水産研究所, 研究員 (50443388)
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研究概要 |
温暖化などの環境変動が心配される今日,北方海洋生態系を保全し,持読可能な利用を確保することが重要な課題となっている.この課題を克服するためには,北方海洋生態系を共有する各国の協力が必要となる.特に,生態系変動を計測するためのモデルとして,近年注目されている海棲哺乳類や海鳥類などの高次捕食者は,日本近海を摂餌海域とし,極東ロシア島嶼海域を繁殖海域としていることから,各海域における情報をネットワークで共有することにより,生態系モニタリングを行うことが必要となる.本研究では,国境を越えて広域に回遊する高次捕食者をモデルとして,発信器,データロガーおよび音響テレメトリーなどの多次元計測によるモニタリングネットワークを構築することを目指して研究を行っている. 本年度は,極東ロシア島嶼海域において鰭脚類,オーストラリアのタスマニア島において海鳥類の調査を行った.国内では,北海道においてトドおよびゴマフアザラシ衛星発信器を装着し,北海道からロシアまでの回遊を追跡した.また,タスマニアにおいてハシボソミズナギドリに光センサを搭載したロガー(ジオロケーター)を装着し,オーストラリアからオホーツク海やベーリング海への長期回遊行動を追跡した. さらに,実際に高次捕食者が食べていた餌情報を得るために,オットセイの胃内容物および安定同位体による摂餌履歴解析を行った.また,餌生物の長期変動を明らかにするため,1950~80年代に北海道沿岸で行われたオットセイ捕獲調査によって得られた胃内容物を分析した. これらの結果については,国内や海外での学会で発表したほか新聞・テレビに報道された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,北方海洋生態系を利用する高次捕食者に動物装着型記録計を装着して生態系モニタリングを行っており,当初の計画通り,ロシアやアメリカ,オーストラリア,イギリスなど,各国の研究者と協力して共同研究を行うことができ,ネットワークの構築がされている.
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