研究課題/領域番号 |
22405009
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 真 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (80204494)
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キーワード | 食植性 / 被子植物食 / コバネガ / シギアブ / ガガンボ / ハモグリバエ / 藻食性 / コケ植物 |
研究概要 |
オーストラリアの食植性昆虫の現地調査と、いくつかの食植性昆虫の分子系統解析を行なった。今年度の当初は、チリのパタゴニアの調査を計画していたが、調査予定であったプジェウエ国立公園にあるプジェウエ火山・あ2011年6月8日に大爆発を起こしたため、計画を変更して、オーストラリア調査を実施することになった。 ゴンドワナ大陸の一部に由来するオーストラリア大陸には、ゴンドワナ大陸で進化を遂げた植物と、それを摂食する食植性昆虫が分布している。オーストラリアのさまざまな植生において、食植性昆虫(特に、コケ植物やシダ植物利用する食植性昆虫や南米の固有科植物を利用する食植性昆虫)を探索し、それらの標本を採集すると同時に、それらの生態を観察した。また、さまざまな植生において、多様な花に訪花する訪花性昆虫の群集調査を行なった。さらに今年度は、海域における食植性の進化にも視野を広げ、スズメダイ類などの食植性〔藻食性)生物の探索や、海綿における藻類との共生(および藻類食の二枚貝との共生)の調査も行なった。 具体的に調査を行なったのは、クインズランド州のラミントン国立公園とノースストゥラッドブローク島、タスマニア州各地、ニューサウスウェールズのブルーマウンテン国立公園とその周辺である。調査の結果、コバネガ科、シギアブ科、シリブトガガンボ科、ハモグリバエ科などにコケ食のものがいることが明らかになった。特にシリブトガガンボ科の幼虫は、特異な形態と生態を持っており、多様性も高いことが明らかになった。コバネガ科、シギアブ科、シリブトガガンボ科について、世界レベルでの分子系統解析を進めつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オーストラリアでの野外調査の結果、コバネガ科、シギアブ科、シリブトガガンボ科、ハモグリバエ科などにコケ食のものがいることが明らかになった。特にシリブトガガンボ科の幼虫は、特異な形態と生態を持っており、多様性も高いことが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
プジェウエ火山の噴火による被害状況を分析して、できるだけ早く南米大陸の調査を行ない、コバネガ科、シギアブ科、シリブトガガンボ科、ハモグリバエ科などの探索と、それらの食性の解明をめざしたい。それに伴い、上記の昆虫類の世界レベルでの分子系統解析を行なう必要がある。さらに、南米大陸でのコケ植物やシダ植物を利用する昆虫類の悉皆調査をも行なう予定である。
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