南米ペルーのアマゾン源流部およびアンデス山地において、コケ植物と原始的被子植物、およびそれらの植食者の探索を行なった。ペルーの森林局から調査許可を取得し、2014年10月18日~11月5日の期間、加藤真・川北 篤・サトウアキラ・今田弓女の合計4名で調査を行なった。調査を行った場所は、アマゾン源流部Tarapoto周辺の熱帯雨林、アンデス山脈山麓のHuancabamaおよびLa Florida周辺の山地雲霧林である。これらの湿潤な森林環境において、ケゼニゴケ属、サイハイゴケ属、Monoclea属に潜葉虫の潜孔が見られ、それらの潜葉虫がハモグリバエ科とシギアブ科のものであることが明らかになった。また、雲霧林においてコバネガの成虫が採集された。南米では、コバネガ科はチリ南部のパタゴニアで1種、エクアドルから1種の記録があるだけで、このコバネガはペルー初のコバネガで、しかも新種の可能性が高い。 また、TarapotoとLa Floridaにおいて、コミカンソウ科数種の送粉行動を観察したところ、Phyllanthus属の1種でハナホソガの訪花・授粉・産卵が観察された。このことは、コミカンソウ科の絶対送粉共生系が南米大陸にも存在していることを示唆している。不稔の装飾花を持つオシロイバナ科植物の花が見られ、その送粉様式の調査も行った。 さらに、ラオス(2014年12月21~30日)において、原始的陸上植物の食植性昆虫の探索も行った。苔類からハモグリバエ科やシギアブ科の昆虫が発見された。得られたコケ食昆虫を材料にして、生態観察と分子系統解析を行なった。
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