研究課題/領域番号 |
22405013
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
瀬戸口 浩彰 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (70206647)
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研究分担者 |
藤井 紀行 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (40305412)
東 浩司 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50362439)
池田 啓 岡山大学, その他部局等, 助教 (70580405)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 周極要素植物 / 高山植物 / 緯度 / 光環境 / 開花時期 / 種内多型 / フィトクロム / 系統 |
研究概要 |
平成24年度は、前年度から引き続き共同研究者のProf. Brockmann@オスロ大学・ノルウエー、ロシア科学アカデミーのDr. Barkalov, Dr.Yakubovらとともに、周極要素要素植物のサンプル入手を推進し、実験室レベルでは光受容体遺伝子を中心にした多型解析を進めた。また、アメリカ合衆国のアラスカ州の調査とサンプリングをアンカレッジ大学の協力を得て実施した。これにより、低緯度(日本列島の中部山岳地域)から高緯度(カムチャッカやスカンジナビア半島北部)のサンプルが全球レベルで収集することができた。 その結果、複数の植物群で、フィトクロム遺伝子が緯度に対応して2群に分化していることがわかった。この知見は、高緯度に分布する植物が生育する夏期の光環境:白夜が続いて夜の時間が極端に短い に適応して花成の時期を計っており、その一方で日本列島の中部山岳地域のように夏至でさえも昼と夜の時間が明瞭に分化している光環境への適応の差であると考えられる。とまた、この一連の研究の過程のなかで、幾つかの種では、分布の南限にあたる日本の固有種の系統上の位置が原始的であることがわかってきた。このことは、従来から考えられてきたシナリオ:ベーリンギア・レフュジアのような高緯度にあったレフュジアから新たに派生したものが南下したのではなくて、むしろ低緯度の温帯地域の植物が北上して周極要素植物が誕生した可能性を示唆するものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた計画は順調に実施してきている。ただし、もう少し論文化を早く進めたいと考えている。投稿後に修正を要する原稿が多数有り、作業を早く進めたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
この研究の特徴の一つは、国際連携である。ノルウエー、ロシア、アメリカ(アラスカ州)の興味を同じくする研究者との連携によって、研究の進み具合を加速させ、国際的な競争力を持った研究に仕上げていく計画である。
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