研究課題
本年度は、8月に台湾、10月にネパール、3月にニュージーランドに滞在し、採集を行った。また、国内(宮崎県、静岡県、など数カ所)からも採集を進めた。ミカヅキモ属の分布調査と採集の際には、サンプルの生息環境について、温度、pH、水質などについて、詳細に記録し、加えて、接合子を得るための土壌サンプル採集も行った。これらを日本に持ち帰り、キャピラリー洗浄法を用いてこれらの株の無菌系統株確立を行い、光学顕微鏡での形態観察に基づき、種を同定した。最終的にヒメミカヅキモを、台湾から3株、ネパールから2株、国内から10株単離したが、ニュージーランドからはヒメミカヅキモを得られなかった。得られた株について接合誘導実験を行い、ホモタリック、ヘテロタリック、単胞子形成のいずれの生殖様式であるかを評価したところ、ほとんどの株がホモタリックであると考えられたが、山形県から単離されたyaga127-1株は、単独で接合子を作らず、ヘテロタリック株である可能性が示唆された。それぞれの系統株について、18S rDNA group I intron配列およびITS2領域の配列を決定し、系統樹を作成した。その結果、形態による同定結果を支持し、得られた株のほとんど全てが既存のヒメミカヅキモクレードに含まれた。同一形態種に分類されるものには、染色体数の倍数化が見られるものも含まれる。各系統株のゲノム含量について、顕微測光により定量する方法を確立し、これまで主に用いてきた系統株(NIES-67,68)では、約300Mbp程度であると見積もられた。
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