研究課題
海外(アメリカ合衆国、フロリダ州)および国内(函館、静岡)にて、ミカヅキモ属の生育調査と採集を進めた。調査に際して、これまでとおり、採集地点の温度、pH、水質などについて、詳細に記録し、加えて、接合子を得るための土壌サンプル採集も行った。これらを日本に持ち帰り、光学顕微鏡での形態観察に基づき、種を同定した。その結果、静岡(麻機遊水池)から25株のヒメミカヅキモ系統株確立に成功した。得られた株について接合誘導実験を行い、ホモタリック、ヘテロタリック、単胞子形成のいずれの生殖様式であるかを評価したところ、1株がホモタリック株、16株が同一交配群に属するヘテロタリック株、8株が有性生殖反応を示さなかった。このヘテロタリック株は、既存の交配群(IIA, IIB, IE)との間に接合子を作らず、生殖的に隔離していた。また、この交配群は、これまでゲノム計画が進行中の交配群IEと系統的に近縁であり、両者を混合することで、若干の生殖反応が観察された。この交配群を新規交配群Gとし、次に、交配群IEと交配群Gの間で性フェロモンが作用し合うかを精査したところ、異なる交配群の有性分裂を誘導する活性が観察され、部分的に性フェロモンが作用することが明らかとなった。さらにウエスタンブロッティングを行ったところ、交配群IEのPR-IPに対する抗体では、交配群GのPR-IPは検出されなかったものの、PR-IP Inducerに対する抗体では、弱いながらも交配群GのPR-IP Inducerと思われるバンドが検出された。今後、交配群IEと交配群Gの間にある隔離障壁が他の交配群との隔離障壁と共通するのかを解析することで、生殖隔離の共通機構の解明が期待される。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: 未定 ページ: 未定
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