研究課題/領域番号 |
22405016
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
志和地 弘信 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (40385505)
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研究分担者 |
遠城 道雄 鹿児島大学, 農学部, 教授 (60194651)
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キーワード | 国際研究者交流 / ナイジェリア:ガーナ / ヤムイモ / 品種改良 / 2毛作 / 種苗生産 / ポストハーベスト / 孤児作物 |
研究概要 |
本研究はこれまでに開発したヤムイモの「周年生産」と「種苗生産」技術の確立並びに技術普及を行うとともに、収量性の改善のために育種技術の開発を目的とする。 1.ヤムイモの品種改良に関する育種技術の改善: ヤムイモの高収量品種の作出を目標に、ヤムイモの一種のダイジョについて人為的に倍数性変異体を作出する技術を開発した。ダイジョの2倍体品種から4倍体品種が作出できるようになり、収量性の改善について糸口がつかめた。また、施肥に対する生育反応が品種によって異なることを明らかにした。 2.ヤムイモの健全種苗生産および周年生産システムの体系化: 挿木による種苗の大量増殖方法は国際熱帯農業研究所(ナイジェリア)の育種および品種選抜における世代促進方法に採用され、優良品種の育成期間が短縮できるようになった。また、この技術はビル&メリンダゲイツ財団が支援して2012年4月から開始される「Yam Improvement for Income and Food Security in West Africa(YIIFSWA)」プロジェクトの普及技術に採用され、西アフリカ各国の試験場に技術移転される。ヤムイモの周年生産システムの実証試験はナイジェリアとガーナで行い、ヤムイモとイネの2毛作における肥料の施用時期を確定した。さらに、次世代の種苗の大量増殖技術について、ムカゴの肥大成長に関する基礎的知見を得た。 3.イモ類の生産性の改善およびポストハーベスト新技術の普及戦略関する調査: キャッサバとヤムイモのポストハーベストについて、ナイジェリアとガーナでバリューチェーンに関する調査を行った。ナイジェリアではキャッサバ粉の利用が推奨されており、付加価値の高い製品が開発されていることが判った。ヤムイモの生産性の改善について、乾燥サバンナ地域において収穫の機械化の可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ヤムイモの健全種苗生産に関する技術は国際熱帯農業研究所(IITA)にハンドオーバーされた。IITAではこれらのシステムおよび技術をYam Improvement for Income and Food Security in West Africa(YIIFSWA)プロジェクト(ビル&メリンダゲイツ財団の支援:2012-2017 1200万USドル)のなかで普及に移すことになった。また、イモ類の生産性の改善およびポストハーベスト新技術の普及戦略関する調査の結果はYIIFSWAプロジェクトに還元した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更および問題点はない。本研究の最終年度は「ヤムイモの品種改良に関する基盤技術の改善」に注力する。なお、本研究課題の今後の推進については国際熱帯農業研究所が主体的に行うことになり、2012年3月に東京農大と国際熱帯農業研究所の間でヤムイモの共同研究の推進に関する協定を締結した。
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