研究課題
1.メキシコにおける移行期トマトおよび伝統品種から分離したF. oxysporumの分子系統、性状調査H22年度のフィールド調査およびそれ以前の調査でメキシコの山中など僻地の小村落周辺から採集した移行期トマトおよび伝統品種トマトおよび根圏土壌からの菌類の分離を完了、分離・保存したトマトに付随する菌類の同定、そのうちF. oxysporumについて病原性等の性状調査および分子系統解析を行う。姉妹校であるチャピンゴ自治大学等との共同研究である。2.ペルーの調査準備H23年9月に、リマ北方のHuaral地域およびペルー南部のArequipa地域の山間部を中心にフィールド調査を実施、S. habrochaites、S. chilense、S. peruvianum、S. pennelliiの4種の野生種トマト属植物および根圏土壌を採集した。ラモリーナ大学との共同研究である。採集した試料は、現地および日本へ輸入後に研究室で菌類の分離に供した。3.日本の研究室における解析採集・輸入したトマト属植物の組織および根圏土壌から、分離した菌については、保存するとともに同定を行い、その内のF. oxysporumの一部について、(1)トマト属植物への接種による病原性検定、(2)rDNAITS、rDNAIGS等のゲノム領域の塩基配列を決定、(3)分子系統解析、(4)交配型検定、(5)菌糸和合群検定、を行った。また、一部の試料の植物組織や土壌からDNAを抽出し、DGGE解析を行い、植物組織や土壌の微生物多様性に関する知見も集積した。ペルー由来試料から分離したF. oxysporumの系統樹中の一について、トマト萎凋病菌との比較解析を開始した。
2: おおむね順調に進展している
研究開始2年目であり、計画通りにペルーにおける野生種トマトの採集を実施、サンプリングを行うことができた。実験室において、メキシコ由来試料からの菌類分離を終了、ペルー由来試料からの分離を行っており、予定以上の200余りのFusarium oxysporum菌を分離できている。分離株の性状調査、病原性調査、分子系統解析も順調に推移しており、解析結果の一部については学会、研究会等で報告した。
平成24年度は9月に、ペルー北部において野生種トマト属植物組織および根圏土壌の採集を実施する計画である。従前と同様にF. oxysporumを分離、分子系統解析に供試する予定である。これまでに分離した菌株と併せ、平成25年度にかけて分子系統解析を進め、トマト萎凋病菌の病原性進化について、トマト栽培化の歴史との関係で考察する予定である。研究の進行は予定通りであり、大きな変更の予定はない。
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