研究課題/領域番号 |
22405018
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
有江 力 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00211706)
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研究分担者 |
児玉 基一朗 鳥取大学, 農学部, 教授 (00183343)
寺岡 徹 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60163903)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | トマト / 病原菌 / 共進化 / 栽培化 / Fusarium / 分子系統 / 非病原力遺伝子 / フィールド調査 |
研究概要 |
ペルー北部においてフィールド調査を実施、野生種S. pimpinellifoliumの植物組織および根圏土壌の採集を行った。現地協力機関であるラモリーナ大学等研究者に協力いただいた。採集した試料からは、ラモリーナ大学研究室および日本へ輸入後に研究室で菌類の分離を行った。分離した菌については、保存するとともに同定を行い、その内のF. oxysporumについて、(1)トマト属植物への接種による病原性検定、(2)DNAを抽出し、rDNA ITS、rDNA IGS等のゲノム領域の塩基配列を決定、(3)非病原力遺伝子領域の解析、(4)分子系統解析、(5)交配型検定、(6)菌糸和合群検定、を開始した。また、DGGE解析を行い、植物組織や土壌の微生物多様性に関する知見も集積するために、一部試料の植物組織や土壌からDNAを抽出した。 この他、比較対象用に、日本各地由来のトマト萎凋病菌(F. oxysporum f. sp. lycopersici)の収集、病原性・レース、非病原力遺伝子領域、分子系統、交配型等の解析を継続した。千葉県産トマト萎凋病菌レース2菌株が、従来報告されていない新規の病原型であることが明らかになり、病原性進化解析の新たな材料として解析を進めることとした。 [連携研究者] 東京農工大学大学院連合農学研究科 柏毅 フィールド調査とF. oxysporumの同定の協力 海外研究協力者 国立ラ・モリーナ農業大学 Aragon Liliana Caballero教授、サンオーガスチン大学Ceres de Baldarrago Fatima教授
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究開始3年目であり、計画通りにペルーにおける野生種トマトの採集を実施、サンプリングを行うことができた。実験室において、ペルー由来試料からの分離を行っており、予定以上の株数のFusarium oxysporum菌を分離できている。分離株の性状調査、病原性調査、分子系統解析も順調に推移しており、解析結果の一部については学会、研究会等で報告した。 さらに、比較対象用に収集した、日本各地由来のトマト萎凋病菌(F. oxysporum f. sp. lycopersici)について、病原性・レース、非病原力遺伝子領域、分子系統、交配型等の解析を行なっていたところ、千葉県産トマト萎凋病菌レース2菌株が、従来報告されていない新規の病原型であることを発見、病原性進化解析の新たな材料として興味がもたれ、その結果の一部については学会で報告した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は9~12月に、ペルー南部に隣接するチリ北部において野生種トマト属植物組織および根圏土壌の採集を実施する計画である。従前と同様にF. oxysporumを分離、分子系統解析に供試する予定である。最終年度であるため、これまでに分離した菌株と併せ、分子系統解析を進め、トマト萎凋病菌の病原性進化について、トマト栽培化の歴史との関係で考察する予定である。研究の進行は予定通りであり、大きな変更の予定はない。
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