研究課題
これまで研究代表者らが研究を実施してきたICRISATニアメ支所の試験圃場において、圃場試験を開始した。この圃場試験は、これまでの研究により風食抑制とトウジンビエの収量増に効果があることが実証されている「耕地内休閑システム」をさらに持続性の面で改良することを目的としている。このシステムでは、耕地内に5m幅の休閑植生帯を適当な間隔で設け、風により運ばれる肥沃な表層土壌を捕捉する。翌年この休閑帯を風上に移動させ、前年休閑帯であった場所を耕作する。改良点は、休閑植生帯の管理法と前年休閑帯であった場所での耕作法の2点である。初年度である平成22年度は、まず前者について休閑植生の代わりにマメ科作物の播種あるいはリン鉱石施用の有無という2処理を組み合わせた試験を行い、各植生帯におけるバイオマス量を測定した。これらの処理の効果については、来年の耕作によって明らかとなる。さらに、後者については、植生帯であった場所での施肥の効果を検証するため、植生帯作成後の栽培年数が異なる場所(0年~2年)の3処理と対照区として連続耕作区の計4処理区において、トウジンビエを施肥あるいは無施肥で栽培した。その結果、休閑植生帯の増収効果は3年間持続していたこと、施肥の効果は栽培1年後の処理区においてのみ有意であった。今後はどのような条件で施肥の効果が上がりやすいのかを詳細に検討する予定である。ミニライゾトロンによる根系調査を実施した。ミニライゾトロンとは、あらかじめ土壌に挿入しておいたアクリルチューブ内に、グラスファイバーの先に取り付けたCCDカメラを導入し、チューブ周辺に存在する根の様子を非破壊的に観察・定量する方法である。本年度はミニライゾトロンによるトウジンビエとササゲの根系調査の実施可能性について検討した。その結果、十分な精度で測定できることがわかったので、来年度以降本格的に根系調査を実施することとした。
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ペドロジスト
巻: 53 ページ: 126-134
Nutrient Cycling in Agroecosystems
巻: DOI番号のみ ページ: DOI 10.1007/s10705-010-9402-4