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2011 年度 実績報告書

半乾燥熱帯アフリカに根ざした「緑の革命」実現のための耕地生態学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22405020
研究機関京都大学

研究代表者

真常 仁志  京都大学, 農学研究科, 助教 (70359826)

研究分担者 田中 樹  京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (10231408)
キーワードサヘル / 土壌肥沃度 / 耕地内休閑システム
研究概要

これまで研究代表者らが研究を実施してきたICRISATニアメ支所の試験圃場において、圃場試験を実施している。この圃場試験は、これまでの研究により風食抑制とトウジンビエの収量増に効果があることが実証されている「耕地内休閑システム」をさらに持続性の面で改良することを目的としている。このシステムでは、耕地内に5m幅の休閑植生帯を適当な間隔で設け、風により運ばれる肥沃な表層土壌を捕捉する。翌年この休閑帯を風上に移動させ、前年休閑帯であった場所を耕作する。改良点は、休閑植生帯の管理法と前年休閑帯であった場所での耕作法の2点である。まず前者について休閑植生の代わりにマメ科作物の播種あるいはリン鉱石施用の有無という2処理を組み合わせた試験を行い、これら処理の効果を今年度のトウジンビエ作によって検証した。その結果、これらの処理による有意な正の効果は認められなかった。後者については、植生帯であった場所での施肥の効果を検証するため、植生帯作成後の栽培年数が異なる場所(1年~3年)の3処理と対照区として連続耕作区の計4処理区において、トウジンビエを施肥あるいは無施肥で栽培した。その結果、休閑植生帯の増収効果は3年間持続していたこと、施肥による増収効果は有意であった。しかし、施肥区においてトウジンビエ地上部に吸収された窒素量は、施肥によって投入された窒素量を超えていた。したがって地上部すべてを圃場外へ持ち出す現行の農業システムでは、施肥によって持ち出される養分が増え、持続性が逆に危ぶまれることがわかった。
ミニライゾトロンによる根系調査を実施した。ミニライゾトロンとは、あらかじめ土壌に挿入しておいたアクリルチューブ内に、グラスファイバーの先に取り付けたCCDカメラを導入し、チューブ周辺に存在する根の様子を非破壊的に観察・定量する方法である。その結果、空間的な根の分布を経時的に追跡することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

耕地内休閑システムの改良点が明らかになり、養分収支の観点からみた本システムの持続性も評価でき、おおむね当初の計画通りである。

今後の研究の推進方策

施肥によっても本システムの持続性が危ぶまれる結果となったことから、休閑中に窒素を付与する新たな方法として空中窒素固定能の高い自生植物の導入を計画している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Estimation of nitrogen flow within a village-farm model in Fakara region in Niger, Sahelian zone of West Africa2012

    • 著者名/発表者名
      Hayashi, K., Matsumoto, N., Hayashi, E.T., Abdoulaye, T., Shinjo, H., Tabo, R., Matsunaga, R., and Tobita, S.
    • 雑誌名

      Nutrient Cycling in Agroecosystem

      巻: 92 ページ: 289-304

    • DOI

      10.1007/s10705-012-9490-4

  • [雑誌論文] Field-scale aeolian sediment transport in the Sahel, West Africa2011

    • 著者名/発表者名
      Ikazaki, K., Shinjo, H., Tanaka, U., Tobita, S., Funakawa, S., and Kosaki, T.
    • 雑誌名

      Soil Science Society of America Journal

      巻: 75 ページ: 1885-1897

    • DOI

      10.2136/sssaj2010.0416

  • [雑誌論文] Aeolian materials sampler for measuring surface flux of soil nitrogen and carbon during wind erosion events in the Sahel, West Africa2011

    • 著者名/発表者名
      Ikazaki, K., Shinjo, H., Tanaka, U., Tobita, S., Funakawa, S., Kosaki, T.
    • 雑誌名

      Transactions of the ASABE

      巻: 54 ページ: 983-990

    • 査読あり
  • [雑誌論文] "Fallow Band System," a land management practice for controlling desertification and improving crop production in the Sahel, West Africa. 1. Effectiveness in desertification control and soil fertility2011

    • 著者名/発表者名
      Ikazaki, K., Shinjo, H., Tanaka, U., Tobita, S., Funakawa, S., Kosaki, T.
    • 雑誌名

      Soil Sci.Plant Nutr.

      巻: 57 ページ: 573-586

    • DOI

      10.1080/00380768.2011.593155

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 講座「サブサハラ・アフリカの土壌肥料研究最前線1.講座のねらい、サブサハラ・アフリカの生態環境条件と農業の現状」2011

    • 著者名/発表者名
      真常仁志、荒木茂
    • 雑誌名

      日本土壌肥料学雑誌

      巻: 82 ページ: 330-337

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 西アフリカ・サヘル地域における農耕民および牧畜民の生業と暮らし-「危機の年」とその対処行動に注目して-2011

    • 著者名/発表者名
      佐々木夕子、田中樹、伊ヶ崎健大、真常仁志、飛田哲
    • 雑誌名

      システム農学

      巻: 27 ページ: 149-157

    • 査読あり
  • [学会発表] 西アフリカ・サヘル地域において地表面の状態が土壌水分動態に与える影響2012

    • 著者名/発表者名
      伊ヶ崎健大、真常仁志、田中樹、石川裕彦、舟川晋也、小崎隆
    • 学会等名
      日本熱帯農業学会
    • 発表場所
      東京農工大学府中キャンパス
    • 年月日
      2012-03-31

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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