研究課題/領域番号 |
22405020
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
真常 仁志 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (70359826)
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研究分担者 |
田中 樹 総合地球環境学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (10231408)
伊ヶ崎 健大 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (70582021)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 砂漠化 / ニジェール / 緑の革命 |
研究概要 |
2002年度よりICRISATニアメ支所(在ニジェール)で開始した圃場試験では、耕地内休閑システムを発展させる上で考慮すべき技術要素として、休閑帯への施肥、栽培作物の肥培管理法を取り上げた。その結果、休閑植生帯の増収効果は3年間持続していたこと、施肥は増収に効果的であることがわかった。しかし、施肥区においてトウジンビエ地上部に吸収された窒素量は、施肥によって投入された窒素量を超えていたことがわかった。つまり、地上部すべてを圃場外へ持ち出す現行の農業システムでは、施肥によって持ち出される養分が増え、持続性が逆に危ぶまれることがわかった。そこで、休閑中に窒素を投入する新たな方法として、耕地内休閑システムへの空中窒素固定能の高い自生植物の導入を試みたが、事前に採取できた種子量が非常に少なく予備試験にとどまった。 また、このほかに持続性を危うくする要因として、下層への養分流亡の可能性が考えられたため、現地に設置したライシメータから2m深での溶脱水を採取し、その試料を日本に持ち帰り、窒素や無機イオンの濃度を測定した。その結果、耕地内休閑システムにおいて、前年度休閑帯であった耕地では、ルーズな砂層が表層に形成されたために、降雨の土壌中への浸透量が増加し、溶脱水量が増えるという結果となった。しかし、その溶脱水に含まれる養分量の増加は若干程度であり、持続性を危うくするような大きな問題ではないことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
耕地内休閑システムの改良点が明らかになり、養分収支の観点からみた本システムの持続性も評価できたが、具体的な改良方法については、次年度の課題となった。また、ニジェール周辺地域における治安状況の悪化により、ニジェールでの活動を縮小せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、これまで得られた成果の公表に力点を入れつつ、同様の生態環境にあるナミビアにおける展開を試みる。ここでは、現地の作物生産の現状を鑑み、耕作年数、残渣投入、化学肥料の効果を検証できる圃場試験を実施する。この際、持続性を危うくする要因として、下層への養分流亡の可能性が考えられることから、現地に設置したライシメータから溶脱水を採取し、その試料を日本に持ち帰り窒素や無機イオンの濃度を測定し、養分の溶脱量を評価する。さらに、昨年度に引き続き、ミニライゾトロンによる根系調査を実施する。
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