研究課題
西アフリカ・サヘル地域で主要な穀作物であるトウジンビエの生育や発芽には一筆の圃場内にも大きなばらつきがあることが知られている。近年人口増加によって耕地への負担が増加しており、限られた土地を有効に利用するためには、圃場内の生育差の原因を正確に把握することは重要である。そこで、圃場内における土性のばらつきが土壌の表面状態や水分状態を通してトウジンビエの生育へ及ぼす影響を明らかにすることを目的とした圃場試験を実施した。その結果、細粒子画分が多いと、クラストができやすく、雨水の土壌への浸透が妨げられ、土壌水分が不足がちとなり、トウジンビエの生育を抑制すると考えられた。さらに同様の生態環境を有するナミビア北部において、耕作と施肥が砂質土壌の窒素量や作物生産に与える影響を調べることを目的とした圃場試験を実施した。作期中の総降水量は305 mmと例年に比べ少なく、作期中盤に乾燥期があった。土壌体積含水率のモニタリングから、休閑地に比べ耕地では下層への雨水の浸透が容易になったと考えられた。無施肥区では乾燥の影響を強く受け生育が停滞したが、施肥区では乾燥の影響をあまり受けずに生長し、穀実・茎葉量ともに施肥により有意に増加した。作物根量のモニタリングから、基肥がまず作物根を生長させ、養分や水分の捕捉範囲を拡大させることで、乾燥による生育阻害の影響を緩和できたと考えられた。土壌については、無施肥区でNO3-Nが優占し、NH4-Nは少なかった。 一方、施肥区では無施肥区に比べ無機態窒素が多く、NH4-Nは追肥や乾燥等の影響を受け大きく変動した。作物生産の効率的な増収・安定のためには、乾燥のリスクを軽減できる基肥の重要性を認識した上で、微生物による窒素貯留能も考慮した適切な施肥量を設定することが必要であることが示された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Tropical Agriculture and Development
巻: 58 ページ: 8-17
システム農学
巻: 29 ページ: 41-50