研究課題/領域番号 |
22405025
|
応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
天野 正博 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60353562)
|
研究分担者 |
松村 直人 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30332711)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 地球温暖化 / 熱帯林保全 / 気候変動枠組み条約 / 京都議定書 |
研究概要 |
当初の予定通りに東南アジア諸国において地球温暖な緩和策としての植林CDM(A/R CDM),森林保全(REDD+)を実施するためのアカウンティング方式の開発、これらの活動の環境十全性の確保、住民の活動への参画といった事項についての研究を予定通りに行った。アカウンティング方式についてはラオスおよびインドネシアにいてリモートセンシング技術、社会経済調査を用いて開発を行った。ラオスについてはLANDSATにより基本的な土地利用区分を、ラピッドアイにより経年の焼き畑地の抽出を行い、これと地上でのバイオマス調査を併せて炭素排出量の算定を行った。インドネシアにおいてはLANDSATと航空機搭載によるLiDAR、そして地上でのバイオマス調査を併せて森林バイオマスおよび湿地帯からの炭素排出量の算定を行った。 また、ラオスにおいては研究対象地のルアンプラバン県ホアイキン村での聞き取り調査によって過去の焼き畑耕作の推移を時系列的に明らかにした。インドネシアにおいては中央カリマンタン州パドゥラン村において、住民の農業活動や出稼ぎの実態調査を行った。さらに、両地域において住民が参加してのワークショップを行い、地域の問題点やニーズの把握を行った。 ワークショップ時の住民の行動や補足的なワークショップにより、民族、性別、年齢、収入や所有面積の多寡などにより、住民間に能力差が顕著であることが観察された。このことから住民参加の促進を図るには住民の属性毎に異なるアプローチが必要であることが判明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初はアカウンティング方式の開発、A/R CDMやREDD+活動を実施する上での環境十全性の確保、住民参加の方式の開発に大部分の研究資源を割く予定であった。しかし、研究の進展が思った以上であったことから、今年度は開発した方式に沿って、実際に住民に活動を実施してもらい、その評価を次年度に行うための準備まで行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
REDD+の方法論として国際的に意見集約がされてきた炭素クレジットを発行するための参照レベルの設定についても基礎データを取得することができた。次年度はこうした過年度の研究蓄積を下に以下のような研究を行う。 「アカウンティング方式の開発」ラオスについては焼き畑面積の縮小および3~5年サイクルで実施されている現状の焼き畑の実施サイクルを7~8年に延長した場合の、二次林の炭素蓄積量の増加を具体的に計測し、これまで開発してきたアカウンティング方法の問題点を抽出する。インドネシアにおいては火入により頻繁に生じる森林火災を減少させたときの炭素クレジットの増加分を、炭素クレジットとして位置づけることが可能か、開発してきた方法論に照らし合わせながら検討する。 「住民参加のためのアプローチ」ラオスにおいては住民にREDD+活動のための技術移転ワークショップを開催し、住民の技術習得という点で民族、性別、貧富の程度によってどの程度の能力差があるか、評価する。具体的事例として、コーヒーの樹下植栽を約60世帯を対象にして実施するのと、機織りを20世帯を対象に実施する。講師は地域のリソースパーソンが担当する。インドネシアにおいては、パランカラヤ大学の協力によって昨年度に組織化した住民による森林消火隊の活動をモニタリングし、その効果を評価する。また、同様に組織化した養魚場グループによる収入増加活動の評価も行う。以上の活動を参考に過年度の研究で開発してきたアカウンティング方式、炭素クレジット収益の望ましい利益配分等を考察、検証する。
|