研究概要 |
熱帯季節林地帯における荒廃草地の造林に伴うバイオマス変化および天然更新の人工林触媒効果の解明を目的に、タイ王室林野局、土地開発局との共同研究を開始した。タイ国の東北部ナコンラチャシマ県サケラート試験地を研究サイト(バンコクから330km)とした。12年前にバイオマス調査を行った人工林4プロット(早生樹種3、郷土樹種1)を含め7プロット(24年生人工林4、天然林1、草地2)を設定し、土壌水分、気温・湿度、リターフォール量調査等を開始した。土壌断面調査(断面記載、写真、一般分析用土壌採取など)を各プロットで行い、現在土地開発局で土壌の一般化学性を分析中である。また、細土密度、炭素量・炭素同位体比分析および細根量測定のため、一定深さ毎に1mまでの土壌採取を行った。さらに、炭素同位体比測定用の葉(Ao層および小型リタートラップ)の採取を行った。なお、土壌・葉サンプルの炭素量および炭素同位体比は分析中である。表層土壌水分(2010年11月17日)は草地、郷土樹種人工林で高く、天然林、早生樹人工林の順に低くなり、プロット間で差が認められた。さらに、1998年の地上部調査データと比較したところ,早生樹、郷土樹種人.工林とも、胸高直径、樹高、胸高断面積合計はいずれも増加し続けてはいるが、樹高成長は低下し始めていた.また,Acacia林で1998年と比べて3~4割本数の低下が認められたが、郷土樹種のDalbergia cochinchinensis林では個体の成長は劣るものの生存率は高かった。また、天然林と隣接する人工林および草地にベルトトランセクトを設け、毎木調査を行い、Shorea henryanaなどの優良樹種の更新が草地に比べ人工林でより多く認められた。
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