研究課題/領域番号 |
22405028
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
堀之内 正博 島根大学, 汽水域研究センター, 准教授 (30346374)
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研究分担者 |
佐野 光彦 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (50178810)
岡本 研 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (20160715)
山口 敦子 長崎大学, 水産学部, 教授 (10310658)
加納 光樹 茨城大学, 広域水圏環境科学教育研究センター, 准教授 (00527723)
中村 洋平 高知大学, 総合人間自然科学研究科, 助教 (60530483)
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キーワード | 海草藻場造成 / 魚類 / 大型甲殻類 / 生物多様性 / 水産資源 / タイ |
研究概要 |
2011年度はタイ国トランのRUTキャンパス(RU)内で調査を行い、主に次の2項目について知見を得ることが出来た。 (1)天然海草藻場の魚類・大型甲殻類の群集構造 : RUの海草藻場で潜水観察を行ったところ、魚類についてはSiganus fuscescens、Halichoeres bicolorなどが,また大型甲殻類についてはガザミ類やイシガニ類が優占種となっており、現地の水産上重要種なども含む様々な生物が海草藻場を利用していることがわかった。(2)造成海草藻場のサイズが及ぼす効果の検証 : 造成海草藻場のサイズが魚類・大型甲殻類の群集構造にどのような影響を与えるのか明らかにすることを目的に野外実験を行った。すなわち、実験室内で栽培した海草苗を用いてRU地先の浅海域に1×1m、3×3m、5×5mの海草藻場をそれぞれ3つ造成し、潜水観察により、出現各種の個体数を記録した。現在までのところ、面積が大きな造成藻場で種数は多く、1×1mの造成藻場では魚類・大型甲殻類が全く出現しない場合もあること、少なくとも大型の造成藻場については、造成後まもなく周囲の砂泥地とは明らかに異なる生物群集が形成されたこと、などが観察されている。 今後も上記のモニタリングを継続し、データを蓄積していくことにより、生物多様性や水産資源回復を目的とした海草藻場造成に際し、造成すべき海草藻場の最小サイズなどについて重要な示唆が得られるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ここ数年タイで続いている悪天候(2010年度および2011年度において本調査地は大雨による洪水に見舞われた)により、研究開始初年度の2010年度に造成した海草藻場のみならず2011年度に造成した海草藻場の多くが消失するなどした。また、海草種子の採集量にも悪影響が及んだため、実験室内で栽培できた海草苗の数が当初の想定数より少なくなってしまった。そのため、当初の計画よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
実験室内で栽培した海草苗を用い、既存の造成藻場のメンテナンスおよび新たな藻場造成を行い、造成藻場のサイズの効果の検証等、藻場造成デザイン策定時に重要なファクターの効果の検証を行っていく。当初の計画よりもやや遅れているため、なるべく調査頻度を増やし、遅れを取り戻すように心がける。使用できる海草苗数が不足するような場合には、繰り返しの数を減らすことなどによって対応していく。
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