研究概要 |
本研究では、熱帯サンゴ礁起源の魚類が繁殖の同期に利用している環境要因の特定とその内的伝達機構を明らかにすることを目的とした。当該年度においては海外調査と国内予備実験を行った。なお、調査対象地として設定した2地点(フィリッピンタバコ市周辺海域、インドネシアスマラン市海域)のうち、インドネシア調査地域はムラピ火山噴火のため調査地域への入域について制限される可能性があったため、平成23年に調査を行なった。得られた結果は以下の通りである。 海外調査 フィリッピンタバコ市周辺での調査を平成22年9月6日~11日にかけて行った。タバコ市近辺の沿岸調査を網羅的に行い、調査定点をLagonoy湾(13°35'N,123°45'E)沿岸サンゴ礁に設定し、このサンゴ礁周辺から得られる研究対象魚類の定期サンプリングを開始した。第一回目の採集で得られた魚から生殖腺を組織実験用に固定した。また、インドネシアにおいてはカリムンジャワ群島サンゴ礁の調査を平成23年5月12日~18日に行った。フィリッピンと同条件での魚類採集を行い、魚類の組織学観察用のサンプルを得た。 国内実験 海外調査とへ並行して、視床下部域及び脳下垂体で発現が予想される本研究に関連する遺伝子のクローニングを開始した。今回の実験対象となっている遺伝子は、生殖関連、光受容関連、体内時計関連、そして栄養関連の遺伝子であった。これらのうち、体内時計遺伝子として、Period(Per)およびCryptochrome(Cry)の部分塩基配列を得た。
|