研究課題
1.国内のグリーンケア農業の実証研究全国の有機栽培農園におけるグリーンケア農業に関する実証研究では、つぎの3点を明らかにした。すなわち(1)有機栽培農園の67%がグリーンケア農業に関心をもち、19%は既に実践していた。(2)グリーンケアの成果として、農業者及びケアユーザーの間にQOLの共感関係が確認された。(3)ケアユーザーに対する事前面談とその共感関係には関連性が示唆された。この研究成果は、「Green Care in Agriculture as a New Form of Social Support」の題名で学会誌に掲載受理された。2.海外のグリーンケア農業の実証研究スイス・エメンタール地方における体系的グリーンケア活動の典型例「インテグレーション」を実証研究では、この「インテグレーション」の目標、活動、特徴を明らかにした。その特徴として、第1に、社会福祉問題の解決と地方経済の発展とを連結する独自の社会経済戦略であること、第2に、グリーンケア農場の認定では、農業者の力量評価において、農業生産能力ばかりではなく、社会性、家族世代間交流、倫理観などの多面的能力が評価されていること、を明らかにした。この研究成果は、「Systematic Green Care in Emmental」の題名で年次報告書に発表した。3.QOLのアウトカム評価指標研究とデータ収集グリーンケア農業の成果指標について、信頼性と妥当性の観点から検討した。その結果、国際的な健康概念に基づいて、「身体機能」「メンタルヘルス」「社会生活・役割機能」を基本構成要素とする健康関連QOL(SF-36)を確定した。その後、健康関連QOL(SF-36)に関するデータ収集を、北海道・余市町及び栃木県・宇都宮市の若者福祉施設から開始した。両施設におけるケアユーザー人数が少なく、統計解析のためには、継続してデータ収集を行っている。
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THE FRONTIERS OF AGRICULTURAL ECONOMICS
巻: Vol.15 No.2 ページ: 64-68