研究課題
アフリカ大陸、アジア、南米などに生息する在来種家畜や野生動物は、種々の疾病に対して抵抗性を示す。本研究により、外来種家畜が致死的である原虫やウイルスに感染しても在来種家畜や野生動物はサイトカインストームを起こさず無症状であることが明らかとなった。今年度は、スーラ病の起因原虫であるTrypanosoma evans野外分離株を用いてサイトカインストームによる病態発生機序の解析を行った。フィリピンで分離したT. evansi樹立クローンをマウス(BALB/c)に接種し比較病原性解析を行なった結果、強毒株接種マウスでは、接種後8日目に著しい脾臓の腫大や白血球数の増加が認められた。存期間が短かった原虫クローンの接種動物においては著しい脾臓の腫大、白血球数の増加などサイトカイン・ケモカインストームを伴う激しい炎症反応が認められた。ウシにおいてもマウスと同様、原虫の増殖に有意な差が認められ、マウスで強い病原性を示した原虫クローン接種ウシでは原虫出現期間が他の原虫クローン株に比べて短く、白血球数の急激な減少や貧血も観察され、腫瘍壊死因子(Tumor necrosis factor-α)の発現増加が確認された。原虫クローンを接種したマウス脾細胞の炎症性遺伝子発現量をPCRアレイ法にて網羅的に解析し結果、脾臓におけるCcl8およびIl10の著しい発現上昇が確認され、病態発生には制御性DCsが関与することが示唆された。そこで、感染マウスへの制御性DCs移入試験を行ったところ、移入群において細胞数依存的な生存期間の延長および炎症性サイトカインの発現低下が観察された。また、T. evansi感染ウシの末梢血中においてもCCL8およびIL10の発現増加が認められたことから、ウシのスーラ病の病態発生機序には制御性DCsが関与することが明らかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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