研究課題
2012年8月6日~12日までの7日間、フィリピンミンダナオ島及びダバオ市近郊のサマール島で、フィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)のマサンガイ教授らとコウモリの捕獲調査を実施した。今回の調査には日本側10名及びフィリピン側6名が参加し、約70頭のコウモリを捕獲することができた。今回のサンプル及び過去のサンプルを用いて、以下の成果を得た。1.レストンエボラウイルス(REVOV)に関する研究今回採材したオオコウモリ70匹の血清を用い、REVOV核蛋白及び膜糖蛋白に対する抗体の有無を調査した。その結果、ルーセットオオコウモリ37匹中15匹が核蛋白あるいは膜糖蛋白抗体陽性であった。抗体検出法は、REVOV核蛋白あるいは膜糖蛋白を組換え蛋白として発現し抗原として用いたIgG-ELISA、あるいは間接蛍光抗体法を用いた。同時に捕獲された他のオオコウモリ、ココウモリからはREVOV特異的抗体を検出できなかった。これらの結果より、フィリピンのルソン島だけでなくミンダナオ島に関してもルーセットオオコウモリを自然宿主としたREVOVの感染環がある可能性が示唆された。しかしながら、エボラウイルスが属するフィロウイルス科全てを網羅するプライマーを用い脾臓から遺伝子検出を試みたが、ウイルス遺伝子を検出することはできなかった。2.コウモリコロナウイルス(BtCoV)に関する研究フィリピンにおけるBtCoVの分布と進化を明らかとするため、コウモリ腸内容中のBtCoV遺伝子検出を試みたところ、試験に供したサンプルの約30%から遺伝子が検出された。また、66.5%が抗体を保有していた。分子系統樹解析の結果、大多数が既知のベータコロナウイルス属と近縁であったが、アルファコロナウイルス属に分類される新しいウイルス種が検出され、フィリピンにおけるBtCoVの多様性が示された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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