研究課題/領域番号 |
22406002
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉田 佳督 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90506635)
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研究分担者 |
大森 豊緑 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30510052)
胡 丹 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (10386667)
有薗 幸司 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (70128148)
佐藤 祐造 愛知学院大学, 心身科学部, 客員教授 (80022870)
卓 興鋼 国立健康・栄養研究所, 国際産学連携センター, 室長 (20419013)
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キーワード | 医療・福祉 / 社会医学 / トランスレーショナルリサーチ / 国際情報交換 / 中国 |
研究概要 |
医薬品の治験空洞化という大きな社会問題への打開策として政府は、国際共同治験へ積極的に参画すべきとの方向性を打ち出したが、科学的に評価し得るデータが得られていないのではないかという懸念が払しょくできない状況にある。 このため、我々は、平成22年度には、まず、北京における治験実施体制の整備に関する現状について実態調査を行った。平成23年度には、その調査結果を解析・評価し、GCPの研修機会の増加などに関する課題はあるものの施設内外のモニタリングや査察については鋭意実施されているという結果が得られたことから、査読ありの欧文雑誌に投稿し受理されたところである。 また、北京における治験の医業経営への影響に関する実態調査についても北京大学グループとの共同研究として実施することが可能となったことから、現在、調査を実施している。 さらに、調査地域を上海に広げて、治験実施体制に関する実態調査を上海のフダン大学との共同研究として実施した。現在、日本において、得られたデータについて解析・評価を行っているところである。 また、あわせて、これまでに得られた調査研究の結果については、アジア環太平洋国際公衆衛生学会や日本衛生学会において口頭発表し、日本公衆衛生学会においてポスター発表した(上記の国際学会と日程が重複)。 一方、上海での治験の医業経営への影響に関する実態調査の実施をあわせて検討したが、本調査内容は、センシティブな側面をもつことから、上海研究グループとの対面等による粘り強い交渉を行ったものの現時点における社会情勢では、信頼性の高い調査を精度よく上海で実施するには、なお、困難な状況にあることが判明したところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、尖閣諸島問題が生じ、その影響が懸念されたため、まず実施可能性の高い治験実施体制に関する実態調査を先行し、治験の医業経営への影響に関する実態調査については調査精度を上げる観点から追って実施することとなり、調査への着手に6カ月の遅延が生じた。しかし、その後、平成23年度に入り、このテーマについても、北京大学との共同研究が可能となったことから、現在、治験の医業経営への影響に関する実態調査について、北京での調査を実施することができたことと、さらに、中国の第2の都市としての上海において、治験実施体制に関する実態調査を実施することができたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
治験の医業経営への影響に関する実態調査については、極めてセンシティブな課題ではあったものの、北京大学医学部公衆衛生学研究院との共同調査研究が実施できる運びとなり、平成23年度に実態調査を実施中であることから、今後、北京大学からデータを入手後、速やかに解析・評価を行う。 また、平成24年度には、研究代表者がファシリテイターとなり、北京、上海、日本におけるシンポジウムの開催を計画しているところであり、上海での医業経営における治験参加の影響については、このシンポジウムの中で取り上げることとしたい。 さらに、中国における上記の結果について情報発信することは、中国における治験の質をより高めるとともに、我が国における東アジア地域の治験データの活用促進や、国際共同治験への参加意識を高めることに大きく貢献するものであることから、研究内容は学術雑誌等に投稿するとともに、Asia-Pacific Academic Consortium for Public Health(アジア環太平洋国際公衆衛生学会)などの関連学会で発表することにより、広く普及を図ることをあわせて計画している。
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