研究課題/領域番号 |
22406010
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
上村 春樹 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (60184975)
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研究分担者 |
金子 聡 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (00342907)
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キーワード | 熱帯熱マラリア原虫 / 薬剤耐性 / pfmdr1遺伝子 / pfdhfr遺伝子 / pfdhps遺伝子 / pfcrt遺伝子 / インドネシア:ミャンマー |
研究概要 |
熱帯熱マラリア原虫の薬剤耐性株の出現と拡散は、マラリア対策における重大な問題である。私たちはそれぞれの地域で用いられている薬剤に対しての有効性を知る、さらに耐性株が存在、出現した場合に速やかに同定する基礎として、熱帯熱マラリア原虫の薬剤耐性に関連する遺伝子の多型を解析し、その時間的、地域的推移を調べている。 インドネシアは赤道直下、東西に広く広がった多くの島からなる国であり、地域による熱帯熱マラリア原虫の遺伝子型の比較を目的としてサンプル収集を行っている。それぞれの場所での薬剤耐性関連遺伝子の多型の度合いは少なく、薬剤による選択圧が大きいことを示唆する結果を得ている。その過程で、ジヒドロアルテミシニン・ピペラキン治療に対して原虫消失が遅れる事例が幾つか認められ罵それに対しての遺伝子解析をアイルランガ大学で始めた。 平成22年度から2005-2010年にヤンゴン(ミャンマー)の医療機関で熱帯熱マラリアと診断された患者から得られた検体を用いて、原虫の薬剤耐性に関連する遺伝子の解析を行っている。クロロキン耐性に関連するpfert、pfomdrl遺伝子、サルファドキシン・ピリメサミン耐性に関連するpfdhfr、pfdhps遺伝子を調べ、いずれの遺伝子についても近年多型の度合いが減少していることが認められた。それらの中で注目すべきは、pfomdrl遺伝子の野生型が増加傾向にあることである。この遺伝子型は、遺伝子重複によってメフロキン、アルテスネートに対しての感受性低下と関連することが示唆されており、pfomdrl遺伝子コピー数の比較について実験条件の検討を行った。イランの熱帯熱マラリアの薬剤耐性の状況は、他の地域とは異なっている。原虫の薬剤耐性関連遺伝子を2005年と2010年で比較すべく、マラリア感染者からのDNAの単離を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミャンマーの熱帯熱マラリア原虫遺伝子解析はほぼ終了し、学会発表をして現在論文作成中である。インドネシア、イランについては、原虫サンプルは予定通り収集することが出来て解析を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
各国、各地域から収集した熱帯熱マラリア原虫の遺伝子解析を行い、それぞれの地域での経年変化を見るとともに国による特徴を比較する。インドネシアのサンプルについては、政府の方針で国外へのサンプル持ち出しが制限されているのでアイルランガ大学で出来る制限酵素を用いた解析を進めているが、塩基配列による詳細な比較が必要となってきており、共同研究者に対して長崎での解析の許可を急ぐように連絡をとっている。
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