研究課題/領域番号 |
22406011
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
川本 文彦 大分大学, 全学研究推進機構, 教授 (40115556)
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研究分担者 |
神戸 俊夫 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50093018)
大塚 靖 大分大学, 医学部, 助教 (00244161)
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キーワード | 国際研究者交流 / インドネシア:ミャンマー / 熱帯熱マラリア原虫 / 東南アジア / 分布領域 / 分子疫学調査 / 遺伝子解析 / 人工培養 |
研究概要 |
東南アジアの大陸部と島嶼部に分布する熱帯熱マラリア原虫の分子疫学的解析と細胞学的特性を調査するため、インドネシアおよびタイ・ミャンマーにおいてアクリジンオレンジ(AO)法によるマラリア迅速診断法を用いて、マラリアの分子疫学調査を実施した。これらの調査から得られた熱帯熱マラリア原虫の野性株を用いて、東南アジア島嶼部から得られた熱帯熱マラリア原虫の分子疫的遺伝子解析および人工培養を試みた。 (1)インドネシアでは、7月、10月、翌年の1月にスラウェシ島、北スラウェシ州マナド近郊において疫学調査を行い、パプア人の患者1例を含めて3例の熱帯熱マラリア原虫野生株を得た。しかし、人工培養に順応した熱帯熱マラリア原虫は認められず、これまでの成績と同じくインドネシア産の熱帯熱マラリア原虫野生株の人工培養適合株は得られなかった。パプア株も人工培養に適合しなかったことは、インドネシア株と同様か否かに興味を持たれたが、今後、更に調査が必要と考えられた。 (2)4月および8月にタイ・ラノン近郊、ミャンマー・マンダレー近郊の村落においてマラリア患者の迅速診断を行い、熱帯熱マラリア患者が1例、検出された。しかし、人工培養には適合せず、不成功に終わった。 (3)ミャンマー株の人工培養適応株を用いて生殖母体誘導を試みた結果、培地のグルコース量を減少させることで誘導できることが判明した。しかし、形成された生殖母体は全て雌のみであった。 東南アジア諸国ではアルレミシニン混合療法が導入されて以降マラリア患者が激減しており、そのため熱帯熱マラリア患者の検出が困難となっているが、今後も更に調査地を拡げて疫学調査を行い、大陸部と島嶼部の熱帯熱マラリア原虫の特性の比較検討を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東南アジアのマラリア流行国では、マラリア対策として新しい処方であるアルテミシニン混合療法が普及し、マラリア患者が激減しており、研究用のサンプルの収集に困難をきたしているため。
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今後の研究の推進方策 |
共同研究をミャンマー・タイのみならず、ベトナム、カンボジアなどのこれまでの研究地域へ更に拡大し、多くの症例を集めて検討したい。
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