研究課題/領域番号 |
22406013
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
齋藤 玲子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30345524)
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研究分担者 |
内藤 眞 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30045786)
長谷川 剛 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90251800)
藤井 雅寛 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30183099)
大家 正泰 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70108017)
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キーワード | インフルエンザ / ミャンマー / 流行時期 / ウイルス遺伝子解析 / HA遺伝子 / NA遺伝子 / 薬剤耐性 |
研究概要 |
ミャンマーでは、これまでインフルエンザに関する情報はほとんどなく、ミャンマーのインフルエンザ流行状況を明らかにする。二つの都市(ヤンゴン市、ネピドー市)のサーベイランス拠点でインフルエンザ疑い患者からインフルエンザ迅速診断キットを使ってスクリーニングを行い、ウイルス検体を採取した。新潟大学でウイルス培養を行い、インフルエンザ流行疫学を明らかにした。ウイルスの遺伝子特徴を日本の流行株と比較し、さらにミャンマーの薬剤耐性インフルエンザの頻度を明らかにした。 平成23年度は、6月から9月までにヤンゴン市で294件、ネピドー市から123件のインフルエンザ迅速診断キット陽性患者から咽頭ぬぐい液を採取した。新潟大学にてMDCK細胞を用いてウイルス分離培養を行ったところ、ヤンゴンの検体から46件(15.6%)、ネピドーの検体から119件(96.7%)のインフルエンザウイルスが分離された。ヤンゴンの分離株は、44件(95.7%)がインフルエンザA/H3N2,2件(4.3%)がインフルエンザB型で、ネピドーの検体は119件(100%)であり、すべてがインフルエンザA/H3N2であった。インフルエンザA/H1N1pdmは検出されなかった。2011年はミャンマーはA/H3N2が優勢であったことがわかった。流行時期はこれまでと同様にミャンマーの雨期であった。しかし、2011年は流行の規模が小さく、すぐに収束してしまった。 A/H3N2のウイルスHA遺伝子、NA遺伝子解析を行ったところ、ミャンマーで2011年夏に採取された株は、2011-2012年の冬に日本で流行したインフルエンザ(A/Victoria/361/2011系)に類似した株であった。なお、A/Victoria/361/2011は2012-2013年のインフルエンザワクチン推奨株である。日本より半年早く新しい抗原性のA/H3N2が採取されたことになる。 ノイラミニダーゼ阻害剤に対する薬剤耐性試験をA/H3N2の40株について行った。ペラミビル、オセルタミビル、ラニナミビル、ザナミビルに対して感受性であった。しかし、3株がオセルタミビルに対して軽度の外れ値を示したためNA遺伝子変異部位を現在精査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ミャンマーはこの1年で急速に政治情勢が変わったにもかかわらず、ミャンマー国内の研究所や臨床医の協力体制は変わらず、インフルエンザ検体採取は順調に進んでいる。新潟大学におけるインフルエンザウイルスの分離培養や、その後のウイルス解析も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度もミャンマーの二都市でインフルエンザ検体の採取を続ける。年に二回ミャンマーを訪問して進捗状況を確認する。新潟大学にてインフルエンザのウイルス分離培養と、ウイルス遺伝子解析、薬剤耐性について検査を行う。 新たな試みとして、これまでにミャンマーで採取したノイラミニダーゼ阻害剤の薬剤耐性株を、遺伝子組み換え法のリバースジェネティクス法を使って再構築を行い、薬剤耐性であることを確認し、さらに出現のメカニズムについて解析を行うよう計画する。
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