研究課題
Epstein-Barrウィルス感染は国際がん研究機関(IARC)によって「ヒトに対して発がん性がある(Group1)」と評価されている。中国南部においては上咽頭癌が多発し、予後不良であり、重大な健康問題となっている。中国広西医科大学付属病院を受診し、研究への参加についてインフォームド・コンセントの得られた新規上咽頭癌患者および非がん疾患の患者より生検検体を得た。癌部で8-OHdGおよび8-nitroguanineが強く染色され、iNOSの発現を確認し、また、癌患者での血清8-OHdGの上昇を明らかにした(Huang Y-J.et al.Med Oncol., 2011)。上咽頭癌においてそのプロモーター領域がメチル化し遺伝子発現低下を認める新規がん抑制遺伝子候補として、RRAD(Ras-related associated with diabetes)を見いだし、RRAD発現ベクターを上咽頭癌細胞に導入することにより細胞増殖、遊走、コロニー形成が抑制されることを確認し、がん抑制遺伝子機能を持つことを明らかにした(投稿中)。さらに、ヌードマウスにRRAD導入細胞とempty vector導入細胞を皮下に移植し機能解析を行っている。上咽頭癌および正常組織より得られたDNAを用いて、メチル化DNA結合タンパクでメチル化DNA濃縮を行い、次世代シークエンサーによるゲノムワイド解析を行い、上記のがん抑制遺伝子候補の有用性を確認した(日本環境変異原学会第40回大会、2011年11月東京)。併せて遺伝子発現およびmicroRNA発現についてマイクロアレイ解析を行い、上咽頭癌の予防に寄与し得るバイオマーカーを検討している。
2: おおむね順調に進展している
RRADが上咽頭癌の抑制に重要な役割を果たすことを明らかにし、in vivoの解析が現在進行中である。また、網羅的解析としてDNAメチル化は次世代シークエンサーによる解析を行い、併せて遺伝子発現およびmicroRNA発現についてマイクロアレイ解析を行っている。
ゲノムワイド解析により得られたバイオマーカー候補について、臨床検体を用いて妥当性を検討する。また、遺伝子導入やmicroRNA導入による効果を検討し、機能解析を行うことで発がん機構の解明をめざす。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (15件)
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