研究概要 |
(はじめに)ウクライナ国ジトーミル州ナロージチ地区はチェルノブイリ原発より西側50~80kmに位置している。ソ連崩壊後、安全な食品の配給もなくなり自給自足の余儀なくされている。 (研究の目的)配給もなくなり自給自足の生活をしているナロージチ地区の住民は、半減期の関係で外部被ばくは年々減少しているにも関わらず、内部被ばくの影響が高い。そこで、人体に対して、放射線が長期的に及ぼす影響を調査するため、ナロージチ地区での食事調査および内部被ばく量を詳しく調査を行った。 (調査方法)職業および収入格差を考慮し、代表的な職業かつ平均的月収の家庭を選び、陰膳法によって調査を行った.季節変動を考慮し、5日間連続1回として四季を通じて4回の調査を行い、食材の入手先等の質問旨に答える.集められた食事は食材ごとに分けられガンマ線分析を行った.さらに、現在の内部被ばく状況を調査した. (結果および考察)本調査では、5家族中牛乳を摂取している4家族のうち2家族でCs-137を246Bq/kg, 194Bq/kg、残りの2家族で38Bq/kg, 18.1Bq/kg摂取していることが判明した.これらの家族には夏調査で事実が発覚後、食事指導を行った結果、秋調査では、摂取を控えた家族が3家族あり、11.2Bq/kg, 15.2Bq/kg, 19.6Bq/kgの汚染牛乳を摂取していることを確認した。また、その他の食事に関しては、ジャガイモとキノコの料理、米のミルク粥の汚染が強い事が判明した。また、同時に計測した内部被曝データでは、キノコの摂取が多く見られる秋の食事では30978Bqを記録した被験者が認められた。家族により食事の内容が異なるが、5000Bq, 2000Bqの二つのグループに分かれ、食品の汚染レベルと関連性が見られた。
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