研究課題/領域番号 |
22406021
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
赤澤 宏平 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (10175771)
|
研究分担者 |
寺島 健史 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (00377160)
若井 俊文 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50372470)
|
キーワード | 食道癌 / 腺癌 / 条件付きロジスティック回帰分析 / マッチングデータ / 環境因子 / 喫煙 / 飲酒 |
研究概要 |
本研究の目的は以下の3点である。 1.中国での環境要因、後天的・先天的要因の疫学データを収集する。 2.これらのサンプル数の大きい疫学データを、多変量回帰モデルで解析してリスク因子を同定する。 3.飲料水と食道がん発症の因果関係を定量的に評価し、井戸水の水質改善策を検討する。 である。これらの目的に対して以下の研究成果が得られた。 1.中国の食道癌は扁平上皮癌と腺癌に分類される。平成22年度には、扁平上皮食道癌患者と腺癌患者の生活習慣と先天的要因(家族歴)の疫学データを収集し、多変量回帰モデルに基づき各リスク因子のリスク評価を行った。扁平上皮癌については喫煙、飲酒の一日量と期間の相乗効果を解析し、英文論文にまとめた。 2.平成23年度には、腺癌患者とその年齢、性別がマッチした健常者とのマッチングデータ98ペアを用意して、生活習慣と家族歴のリスク評価を条件付きロジスティック回帰分析を用いて行った。その結果、飲酒(1日30ml以上の酒量もしくは16年以上飲酒歴)と家族歴ありの有意な影響が認められた。飲酒と喫煙の相互作用は有意ではなかった(Chen et.al 2011)。 3.平成23年度に、環境要因のひとつである飲み水について、食道癌多発地域のひとつである河北省渉県でデータ採取を行った。48町村の54,716例(食道癌患者661例、健常者54,055例)の疫学データが採集された。相関分析や多重ロジスティック回帰分析を行った結果、飲み水に含まれる化学物質のうち、窒素系化合物の含有量が食道がんの発症リスクに有意な影響を与えていることがわかった(Zhang et al 2011)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3つの研究目的のうち、ふたつはすでに成果として報告し、現在3番目の目的を遂行中である。3番目の研究目的は飲み水の化学物質の食道癌に及ぼす影響を評価するということである。すでに、パイロット研究が行われ窒素化合物の影響が評価された。さらに、この目標達成のためには多地点での水質調査が必要であるが、これらもすでに進んでおり本年5月にはそのデータ解析が行われる。
|
今後の研究の推進方策 |
研究遂行上の問題点は今のところ発生していない。 中国国内での食道癌多発地域の水質調査を現在実施中であるが、そのデータ解析も平成24年5月には開始される予定であり、計画書に記載されたスケジュール通りである。
|