研究課題/領域番号 |
22406026
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
東 健 神戸大学, 医学研究科, 教授 (60221040)
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研究分担者 |
吉田 優 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (00419475)
久津見 弘 神戸大学, 医学研究科, 客員教授 (70420461)
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キーワード | H.pylori / 消化器疾患 / 疫学調査 / 感染症 |
研究概要 |
ヘリコバクター属のピロリ菌とハイルマニ菌は共に、胃内に生息するグラム陰性らせん状菌である。ピロリ菌は全世界で人口の50%以上に感染し、慢性胃炎、胃癌、胃・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫等多様な疾患に関与している。ピロリ菌感染による疾患多様性にはピロリ菌のゲノム多型が関与していると考えられている。一方、ハイルマニ菌は人畜共通に感染し、慢性胃炎や胃MALTリンパ腫に関与していることが認められているが、これまで培養に成功しておらず感染の疫学的状況や病態は全く解析されていない。本研究ではアジア・アフリカにおけるピロリ菌及びハイルマニ菌感染と消化器疾病構造を疫学調査すると共に、採取した菌のゲノム解析を行い、疾患発症を規定する宿主・環境・菌体因子を明らかにすることを目的としている。今年度は、タイと中国のピロリ菌の病原因子CagAの遺伝子多型を解析し、タイでは、欧米型のCagAが約40%、東アジア型のCagAが約60%認め、中国ではほとんどが東アジア型のCagAを有していた。中国のピロリ菌感染者の胃粘膜は強い萎縮が認められたが、タイでは、どのCagAの遺伝子多型であっても、萎縮の程度は軽く、日本、韓国、中国等の東アジアとは大きく異なることが認められた。ベトナムでは、ピロリ菌はほとんどが東アジア型のCagAを有していた。一方、ベトナムの慢性胃炎患者の約4%にハイルマニ菌感染が認められた。日本では人のマルトリンパ腫患者で20%の感染が、牛には約60%がハイルマニ菌感染が認められ、胃粘膜には多くのリンパ濾胞が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の海外協力者はいづれもこれまで長年共同研究を続けている研究者であり、サンプル収集の十分な協力が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、得られてきたデーターをまとめ、多変量解析等を推進していく。
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