研究課題/領域番号 |
22406028
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
新美 照幸 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (60291762)
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キーワード | ベトナム社会主義共和国 / 枯葉剤 / 先天異常 / 口唇口蓋裂 / 絨毛癌 |
研究概要 |
昨年に引き続き現地の疾患モニタリング予防センターにおいて継続的に調査を行うことで、疾患のデータを把握するとともに、現地へ赴き、同国側研究者と昨年度の調査内容につき検討し、調整を行った。 先天異常の発生頻度はヒトではおよそ3~5%と報告されているが、2009年、2010年の調査結果では、これと比較し明らかに低く、口唇・口蓋裂の発生頻度も0.1%程度であり、以前の現地における我々の調査と比較しても低いものであった。これは産婦人科医による見落としや重度の先天異常の場合に死亡扱いとなることで、診断をする小児科医への受診に至っていない症例があると考えられ、小児科医以外にも現地スタッフとのより細やかな連携が必要と考えられた。 そこで、ベンチェ省全体の4割以上の出生数を扱う同省の拠点病院であるグエンデンチュー病院をモデルに、現地での分娩から先天異常診断の方法について実態調査を行った。年間7000件程度の分娩に対し、産婦人科医10名、助産師45名で対応しており、通常の分娩は助産師のみにて対応していた。先天異常の抽出も助産師が行い、異常がないと判断した場合は、産婦人科医の診察を受ける事なく退院していた。助産師が異常と判断した場合のみ、産婦人科医の診察があり、治療が必要な場合に小児科へ依頼するシステムであった。 診療システムの変更は困難であるため、今後は医師のみならず助産師とも診断方法の調整を行う必要があると考えられた。 絨毛癌に関しては、現地の医師、看護師に、発生予防のプログラムの継続を依頼するとともに、必要に応じ実施のための説明会を行う準備がある事を伝えた。 さらに、現地の人民委員会をはじめ政府機関の行政担当者と面談し、同研究に対するさらなる支援を要請した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現地の小児科医を軸に連携をとってきたが、現地スタッフ間の連携が不十分である可能性があり、先天異常の抽出方法につき小児科医のみならず、産婦人科医さらには助産師も含めた調整の必要性が出てきたため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、現地の疾患モニタリング予防センターにおいて継続的に調査を行うことで、疾患のデータを把握するとともに、現地へ赴き、同国側研究者と昨年度の調査内容につき検討し、調整を行う。昨年度の調査にて助産師も診断のスクリーニングに関わっている現状が把握できたため、調査の精度をさらに向上させるため、今年度は医師のみならず助産師とも診断方法の調整を行う。また、現地医師が診断困難な症例を、実際に診察し診断を行う。我々が滞在中に来院できない患者に関しては、その診断法を現地医師と協議する。絨毛癌に関しては、昨年度の発生予防のプログラムの実施状況を確認し、現地の医師、看護師に、発生予防のプログラムの継続を依頼するとともに、必要に応じ実施のための説明会を行う。これらの計画を遂行する為に、現地の人民委員会をはじめ政府機関の行政担当者と面談し、同研究に対するさらなる支援を要請する。
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